新人研修に反抗的な若手社員に、研修講師はどのように対応しているのか。若手社員育成専門コンサルタントの伊藤誠一郎さんは「うろたえずに毅然とした対応を取れば、おとなしくなることが多い。目の前の相手を説得するのではなく、客観的な視点のもとにほかの若手社員も含めた全員に向けてメッセージを投げかけるといい」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、伊藤誠一郎『部下に「困ったら何でも言ってね」はNGです 若手社員は「肯定」と「言語化」で自ら動き出す』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

新人研修で理不尽に振舞う若手社員

冷静で丁寧な指導を実践していると、それをいいことに反抗してくる若手社員もいて、上司や先輩を悩ませています。もちろん、反抗的な若手はごく一部にかぎられた話ではありますが、恒例行事のように毎年1〜2人は必ず出てくるという話も聞きます。私も新入社員研修で何度か遭遇した経験があり、たとえば次のようなケースです。

①マナーやコミュニケーションの指導において「笑顔やお辞儀の練習を何度もさせることは強要でありパワハラです」
②メールの文章のわかりづらさを指摘したところ「私はこれで十分伝わると判断しました。先輩の読解力が低いのではないですか?」
③プレゼンテーション研修の最中に突然「大学時代に実践してきた基本ばかりで、私には無意味ですから参加したくありません」

①と②は、若手社員のOJTの指導係になった方から聞いた現場での話です。若手社員に1日も早く活躍してほしいとの思いを踏みにじられるような突然の反抗に、みなさん返す言葉が見つからずにうろたえてしまったそうです。言うまでもなく、若手社員の発言に正当性は見当たらないです。だからこそ、指導係の方はどう指摘していいのかわからず、瞬時に返す言葉が見つからなかったのでしょう。

話を聞く男性のイメージ
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

しかし、上司や先輩はうろたえたりせずに、そんなときこそ毅然きぜんとした態度と言語化力と説明力で若手に真意を伝えなければなりません。