「売れ残り品の詰め合わせ」から変わり始めた

それでも福袋という商法はある程度消費者に好評を博し、売れ行きも悪くはなかったのでしょう。2000年ごろにはどの衣料品店・ファッションブランドもすっかり福袋を販売するようになっていました。

2000年といえば、そごうの経営破綻やダイエーの凋落ぶりの顕在化、マイカルの経営悪化が如実となり経営破綻直前(2001年経営破綻)という不況感が増していた時期です。そのためアパレル業界では売上高不振が顕著になり始めていましたし、消費者はより一層の「お得感」を求める心理状態に陥っていました。実際、婦人服の売り上げは90年代後半以降右肩下がりの状態が続いています。

そのため、福袋という商材が供給側からも消費者側からも注目を集めたのではないかと思います。注目を集めるようになった福袋はさらなるお得感を提供するために、従来の「売れ残り品の詰め合わせ」というものから変貌し始めます。

福袋
福袋(写真=Nesnad/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

なぜ「中身がわかる福袋」が増えたのか

今では当たり前になりましたが、この頃から衣料品店・ファッションブランドの福袋は色柄別・サイズ別にきちんと分けられるようになりました。

もちろん、季節外れの夏物商品なんて入っていません。正月に買って今すぐ着られる冬物衣料ばかりです。そしてそのうちに「中身」もあらかじめ告知するようになりました。例えば「ダウンジャケット1枚、セーター1枚、ネルシャツ1枚、チノパン1枚と長袖Tシャツ1枚入っています」という具合です。店頭でもチラシでも、そのうちにウェブでも告知されるようになりました。

あらかじめ中身もわかって色柄サイズ別に分けられていて、今すぐ着られる冬物が5枚以上入っていて5000~1万円で購入できるのですから、消費者からするとこんなお得な商材はありません。あっという間に福袋人気が高まりました。

結果、ほとんどの衣料品店・ブランドで福袋は販売されるようになりました。

皮肉なことに過熱した福袋人気が福袋のからくりを広く世間に広めるきっかけとなりました。先述したように、元々は売れ残り品を詰め合わせ、色も柄もサイズもバラバラで夏物が入っていることも普通なのが福袋でした。ですが今は色柄サイズもそろっており夏物なんて入っていません。そこにはからくりがあったのです。