福袋の中身は「福袋用に作られた商品」
もうご存じの方も多いと思いますが、今の福袋の中に入っている商品は、福袋用としてわざわざ製造したり仕入れたりしているものなのです。もちろん売れ残りの冬物を1着や2着入れる場合もありましたが、整然と色柄サイズをそろえるためには、在庫だけで賄うことは相当困難です。福袋用に製品を製造したり仕入れたりするほか手立てがありません。仮に本当に色柄サイズを売れ残り品だけでそろえられたとしたら相当に販売不振に陥っていて倒産寸前の状態だといえます。
在庫処分品だけで福袋を作ろうとすると、商品ごとの組み合わせも大変ですし、サイズもどうしても偏ります。一部の購入者からクレームもあったことでしょう。とはいえ、「福袋」という形態は消費者にはウケが良かったので、であれば「最初から福袋用の商品を作ってしまおう」となったのです。
「価格相当」の品物しか入っていない
もちろん、新たに製造したり仕入れたりするわけですから、5枚組1万円で販売してもいくらかは粗利益が残るくらいの原価設定の商品となっています。わざわざ赤字を出してまで福袋用の商品を製造したり仕入れたりするような間抜けな店やブランドはありません。相応に原価の安い商品を製造または仕入れて福袋に詰めて販売しているのです。
家電量販店の福袋には「5万円相当の商品が入って1万円」などという売り文句を見かけます。これは型落ち品が福袋に入っているからこそ可能な表記であり、福袋のための商品が入っているアパレルの福袋には、上記の理由から「掘り出し物」と呼ばれるものはほとんどないと言えます。
福袋は一時期ユニクロでさえ販売していましたが、現在は一部の旗艦店を除き早々に廃止されました。これは福袋無しでも正月の集客も売上高も確保できることがわかったためだと推測されます。