脳内物質には優先順位がある

【ゆかり】私でもできそうです! で、この3つが全部揃えば完璧な幸せが手に入るんですか?

【先生】はい、しかし、3つの幸福を全て手に入れている人は非常に少ないと思います。

【ゆかり】え、どうしてですか?

【先生】3つの幸福を揃えるには、重要な条件があるんですよ。

【ゆかり】重要な条件?

【先生】順番があるんです。優先順位と言ってもいいでしょう。この順番を間違えると、反対に不幸になってしまいます。

【ゆかり】逆に不幸になっちゃうなんて怖い!

【先生】そういうゆかりさんも、その予備軍かもしれませんよ? 「頑張っているのにうまくいかない」って、言っていましたよね。

【ゆかり】で、でも、頑張らないと仕事はうまくいかないし、幸せになれないじゃないですか。

【先生】そこなんです。そこを勘違いしている人が不幸せになるんです。

【ゆかり】え~! 何が間違っているんですか? 正しい順番って?

【先生】仕事で成功するのはドーパミン的幸福です。しかし、休む、リラックスするというセロトニン的幸福をおろそかにしてドーパミン的幸福ばかり追い求めると、ストレスがたまり疲れてしまう。いつか必ず心や体を壊してしまうんです。仕事だけじゃなく、しっかり休む、のんびりする。遊ぶことも、幸せには必要なのです。

すべての幸せは健康あってこそ

【ゆかり】ということは、ドーパミン的幸福より、セロトニン的幸福のほうが、優先順位は上?

【先生】そうなんです! 仕事を適度に頑張るためにも、心と体の健康という基盤は欠かせませんから。まじめな人ほど頑張りすぎてしまうので、燃え尽きやすい。絶対に気をつけてほしいポイントです。

【ゆかり】たしかに、健康を損ねたら元も子もないですね。

【先生】そしてもう1つ、オキシトシン的幸福も忘れてはいけません。家庭をかえりみずに仕事ばかりして、家族に愛想を尽かされる男性は過去に少なくありませんでした。最近では、熟年離婚というのもありますね。それではいくら仕事で成功しても幸せとは言えないと思いませんか?

【ゆかり】うぅ、耳が痛い。私も、残業ばっかりしていて恋人と会う時間がとれず、うまくいかなくなって別れちゃったことがあります……。それで多少仕事がうまくいっても、あまり幸せだとは思えなかった。

【先生】つまり、ドーパミン的幸福よりもオキシトシン的幸福のほうが、優先順位は高いということなんです。

【ゆかり】なるほどなぁ。じゃあ、セロトニン的幸福とオキシトシン的幸福とはどっちが優先ですか?

【先生】想像してみましょう。あなたの仕事が順調に進んでいて、家族やパートナーともうまくいっていて……でも、ある日突然あなたあるいは家族やパートナーが重い病気を宣告されたらどうでしょうか?

【ゆかり】それは……急に不幸のどん底に突き落とされた気分になりそうです。

【先生】そう! 「つながり」は大切ですが、まずは「健康」。オキシトシン的幸福よりもセロトニン的幸福のほうが優先順位は高いわけです。病気になると、人と会う元気もなくなります。学校や会社に行けなくなると、つながりも失われます。セロトニン的幸福を失うと、連鎖的にオキシトシン的幸福も失うのです。

【ゆかり】つまり、全ての幸福は健康あってこそ……!

【先生】その通り。このような3つの幸福のバランスを、私は「幸せの三段重理論」と名づけました。健康があって、つながりができる。心と体の安定があって、はじめて仕事も頑張れる。セロトニン的幸福という土台の上に、オキシトシン的幸福、そしてドーパミン的幸福の3つを積み上げて、はじめてバランスのとれた「幸せ」が手に入るのです。