「仕事がうまくいく幸せ」と「ペットと過ごす幸せ」は種類が違う
【先生】はい、科学的に、具体的に、幸せを感じているときの脳の状態について考えていきましょう。まずは、ゆかりさんが幸せを感じるのって、どんなときですか?
【ゆかり】そうですね、仕事でいい結果が出たときかな。今日はちょっと失敗しちゃって落ち込んでたんですけど、逆にプレゼンが成功して上司に褒められたときなんかはめちゃくちゃテンションが上がって、「頑張ってよかった!」って気分になります。
【先生】なるほど、いいですね。努力が報われるのはすごく幸せなことですね。でも、他にもありませんか? あまりおおげさに考えなくても、ちょっとした幸せを感じることとか?
【ゆかり】そうですね……うーん、何だろう? あ、実家で猫を飼ってまして。その猫とたわむれているときは、「うふふ、幸せだなー」ってなります。でも、そんなのでもいいんですか?
【先生】はい、まさしくそれも当てはまります! 仕事がうまくいったときの幸せ感と、ペットと過ごしているときの幸せ感って、違いますよね?
【ゆかり】違いますね。仕事のほうは「よっしゃ!」って心の中でガッツポーズが出るような感じ。で、猫のほうは「癒やされる~」って感じでほっこりするというか。
【先生】そうですね。実は、幸福物質には3種類あるんです。3種類が、それぞれ違う性質を持っているんです。いまゆかりさんがあげたのは、そのうち2種類です。
【ゆかり】3種類もあるんですか!
「リラックスした状態」も幸せの一種
【先生】調べてみた結果、私たちが「幸せ」を感じている瞬間、「ドーパミン」「オキシトシン」「セロトニン」などが脳内で出ていることがわかりました。世界的にも、この3つは3大幸福物質としてよく知られているんですよ。
【ゆかり】「ドーパミン」とか「セロトニン」とか、聞いたことがあるような、ないような。
【先生】1つずつ説明していきますね。まず「ドーパミンの幸福」は、お金や成功、名誉、達成の幸せです。さっきの仕事の話も、ここに分類されます。
【ゆかり】いわゆる「達成感」というのは、ドーパミンの働きってことなんですね。
【先生】その通りです。次に、猫といるときのほっこりした幸せ感の正体は「オキシトシンの幸福」。愛やつながりの幸せです。
【ゆかり】なるほど、たしかに、別の種類の幸せって感じがします。じゃあ、もう1つの「セロトニン」は?
【先生】「セロトニンの幸福」は、やすらぎやリラックスなど、心と体が健康な状態でこそ感じられる幸せです。
【ゆかり】すみません、ちょっとピンとこないかも。リラックスしているだけでも幸せって言えるんですか?
【先生】はい、れっきとした幸せです。たとえば、天気のいい日に散歩をしていて「ああ、爽やかで気持ちいいなあ」と感じる。それはセロトニンが出ている状態なんです。
【ゆかり】そっか。忘れていたけど、たしかにそれも幸せ感がありますね。幸せと言ってもいろいろ種類があるんですね。言われてみれば納得です。
【先生】それぞれ脳内で分泌されている幸福物質が違っているというわけです。
【ゆかり】ということは、その幸福物質が出る状況や決まりみたいなものがわかれば、幸せになれるってことですか……?
【先生】その通り! 幸せになる方法を知りたいのなら、それぞれの「幸福物質を出す条件」を知ればいいのです。「誰でも同じやり方で確実に」幸せになれると言っても過言ではありません。