「泣き落とし」カードは使うタイミングを選ぶ

人間関係ができている相手であれば、こちら側の一方的な熱意だけでなんとかなることもあります。たとえば、懇意にしている店長さんに、「仕入れてくれないと、上司に怒られて大変なんです」と同情を買う手もありですよね。

ただし、こういった「泣き落とし」カードは、あまり多用すると使えなくなるので、本当に必要な時以外は使わないほうがいいでしょう。日頃、土下座などしなさそうな人だからこそ、効力がある方法なので。

ちなみに、泣き落としができるような関係の人を作っておくことは、何かと便利には違いありません。

今回は自分が泣き落としでお願いしたけれど、今度相手が泣き落としをしてきた時にはそれを受け入れるといったように、貸し借りができる間柄であること自体が、ある種の共犯関係になって、より人間関係が強くなったりするんですよね。

キャバクラでの接待のようなものには基本的にネガティブなイメージが強いのですが、あれは相手と共犯関係になるという目的があるんです。「あいつ、接待でキャバクラとか風俗に行ってたぞ」と自分の会社の人にバラされるという弱みをお互いに握ることで、共犯関係が成立します。それによって、より深い話がしやすくなる。

正当な手段とはいいづらいですが、そのカードを使って結果を出している人もいるところにはいます。

念のためにいっておくと、そういう接待を勧めているわけではありませんよ。

時には自分に不利になる情報も伝える

相手から信用されたいなら、相手のための提案に徹することが大事です。「相手のため」に徹するとは、時には自分に不利になる情報も、相手のために提供することです。

商談の場を例にすると、どんな会社でもプロジェクトでも、相手には相手なりの目的があります。その目的を成功させるには、時には自分の会社のものではない製品を買うほうがいいこともありますよね。ならば、「うちのじゃなくて、他社のですけど、あの製品を入れたほうが得です」という話をします。

こういう自分には不利な情報でも相手のために伝えることで、相手の信頼を得て、人間関係が続いていくんです。たとえその商談が不成立になっても、何か別の時に「だったらあの時に来た人の話を聞いてみよう」という流れが生まれたりします。

企画会議をする二人のビジネスパーソン
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