国の歪な指針
しかも、皮肉なことに、親が歯を食いしばって稼げば稼いだ分だけ、重い子育て費用への公的な支援を受けにくくなるのです。特に仕事と子育ての両立に悩みがちな共働き世帯にはそのジレンマに突き当たる家庭が多いのではないでしょうか。
ならば、いっそのこと仕事をセーブして公的支援を享受しつつ、時間的余裕を持って子育てする方がいいというのも、ひとつの考え方です。
仕事と子育ての両立を推進しておきながら、共働きで世帯収入が一定以上に上がった子育て世帯には厳しいというのが、今の国のしくみなのです。
子どもが生まれてから大学を卒業するまでずっとこの状態が続くと考えると、子育てと仕事の適正なバランスについて、悩んでしまう親も多いはずです。
「頑張ればなんとかなる」
子どもにどのような教育を受けさせるかは、ある程度の年齢までは親の教育方針によるところが大きいものだと思いますが、地域差も切り離せない要素のひとつです。
小学校受験や中学受験をするか否かは、なかでもとりわけ大きな選択となります。都市部など私立の学校が多い地域では私立校が進路の選択肢に加わりやすいですし、公立信仰が強く教育熱心かつ優秀な子どもを持つ親ほど名門公立校を望むという地域もあります。
同級生のほとんどが、そのまま地元の中学に進学する地域では中学受験を視野に入れて考えることさえ少ないと思いますが、一方で「クラスのほとんどが塾に通って中学受験するのが当たり前」という学区に住んでいれば、親も子も自分たちだけ塾に行かずに6年生まで過ごすことに、むしろ精神的に負担を感じてしまう例も見聞きします。
中学受験ともなると、本人の意思も無視できません。経済的な事情から親は「できれば公立で」と思っていても、子どもから「仲の良い友達はみんな塾に行って受験するのだから」と言われることもあります。経済的に明らかに難しい場合はともかく、頑張ればなんとかなるという家庭の場合、悩んだ末に受験を決意する親も多いはず。
この「頑張ればなんとかなる」の難しい決断に直面しがちなのが世帯年収1000万円前後の家庭なのです。