都心と田舎で12万円も差が出る

特に兄弟姉妹がいる場合、全員を中学から私立に入れることを考えると決して容易に決断できることではありませんが、絶対に不可能とも言い切れません。

東京都では2023年から私立中学に通う子どもを対象に年間10万円の補助を開始しましたが、目安世帯年収の上限が910万円という所得制限があり、これもかえって悩みの種となる可能性があります。

こうした地域性の違いは教育費のかけ方にも影響しているようです。文部科学省の「子供の学習費調査」からは、都市の規模が大きいほど学習費が高いことが明らかです。人口10万人未満の市町村の小学生の学習費は年間約28万円なのに対して、100万人以上の市や23区では約47万円と、20万円近い差があります。

加藤梨里『世帯年収1000万円』(新潮新書)
加藤梨里『世帯年収1000万円』(新潮新書)

この違いの大きな要因のひとつが塾です。年間の学習費のうち学習塾代を比べると、10万人未満の市町村の小学生は平均4万5000円ほどですが、100万人以上の市と23区では16万円になっていて、その差は4倍近くにもなります。

中学生でも2倍近い差があります。大都市に住むほど住居費や生活必需品の物価も高くなりがちですが、先に述べたような事情で塾代などの教育費をかけざるを得ないのかもしれません。

同じ年収1000万円でも、どこに住むかによって生活に必要なコストが違うのは想像がつきやすいことだと思います。それに加え、環境によってそうせざるを得ないものも含めて、結果的にかかる教育費の額にも歴然とした違いがあることがわかります。

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