「安心できる人たち」に関心を向けていく

その習慣が大人になってからも引き継がれ、不機嫌な人にどうしても関心が向き続け、その人の機嫌を取ったりするなど、ご自身が傷つく相手ほどエネルギーを注いでいる場合が少なくありません。

現在の対人関係で、不安になる相手や不機嫌な相手ばかりに気を遣っていないか考えてみましょう。もし心当たりがあったら、まずその傾向に気づいてあげることが大切です。

一方で、安心できる人や信頼できる人に対して、自ら関わっていっているかどうかも一緒に振り返ってみてください。

自分の傾向に気づくことができたら、本当はストレスになるだけの人に向けていた関心を、安心できる人や信頼できる人へ徐々に向けていきましょう。

そして、安心できる人たちとの関わりを増やす方向へと行動することができたら、対人関係の在り方が変わっていくと思います。

写真=iStock.com/Mukhina1
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「帰りが遅くなっただけで…」夫に感情を爆発させてしまうAさん

Aさんの父親は「子どもは厳しく躾ける」という教育方針を徹底していました。

そのため、Aさんの気持ちに寄り添うことはほとんどなく、Aさんにとって嫌なことがあっても「お前が悪い」と言い続けてきました。

Aさんはずっと「寂しかった」と心が満たされない思いを抱え、「親にわかってほしい気持ちを諦められない」と語られました。

それでもAさんは日々を明るく乗り切り、職場で出会った人と結婚することになります。パートナーとなった人は、とても穏やかで優しい人でした。

新しい家庭は順調に思えました。ところが、結婚後、Aさんの情緒が不安定になることがときどき起こるようになります。

きっかけは些細なことです。夫が話を聞いてくれなかったとか、夫の帰りが遅くて一人の時間が長かったですとか……。

このような、日常に起きる些細なことにAさんは非常に動揺し、時には物を壊すほど怒ったり、強い不安感に見舞われて居ても立ってもいられなくなったりすることを繰り返しました。