自分の家を買うときのローン金額が限られてしまう

あと、不動産会社の営業トークに出てこないのが、不動産経営者としての視点です。赤字になれば節税効果はあるかもしれませんが、経営者としてはマイナス評価ですから、今後、2軒、3軒と事業を拡大したいと思ったときに、銀行から融資が受けにくくなる可能性があります。それに、不動産投資ですでにローンを組んでしまっているので、いざ自分の家を買おうと思ったとき、借りられるローンの金額は限られてしまいます。もしかすると、思うような家が買えなくなってしまうかもしれません。逆のパターンも同じで、居住用の住宅ローンをすでに組んでいる場合、居住用のほうで枠いっぱい借りていたら不動産投資はできません。

不動産投資は本腰を入れた勉強が必要なもの

完璧な物件は存在しませんし、そもそもいい物件は、すでに不動産投資をガツガツやっている“上客”にしか情報が流れない世界です。ただ、そういった意味では、お得意さんになって関係性を作れれば、成功の道が作れるとも言えます。私のお客さまを見ていると、5、6軒の不動産投資をしている方は“お得意様”のフェーズに入っています。9軒保有している方は、お持ちの物件すべてが都心の一等地にある優良物件なので、70歳の段階で家賃が40万~50万入ってくる未来が描けています。

電卓の上に載っている3つのミニチュアハウス
写真=iStock.com/Egor Novikov
※写真はイメージです

とはいえ、最初からそこまで大きな投資ができる方も多くないでしょう。物件が都心5区ではなかったとしても、これから不動産投資を始める方は最低限、地域の家賃相場は調べましょう。あと、そのエリアが今後開発される可能性があるかどうか、将来性はどうなのかということも重要です。

辻野さんの例でいえば、忙しくてお金に困ってもないし、とりあえずローンは好条件で組めるからやっちゃえ、という勢いで始めてしまったことがまずかったと思います。不動産投資は片手間で稼げるようなものではなく、本腰入れて勉強が必要なもの。その覚悟を持って、あと、営業トークだけではなく、自ら勉強・調査しながらすすめてほしいと思います。

(構成=小泉なつみ)
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