理数科目は自学自習に困らない

一方で、理数科目は本人の努力に大きく依存します。数学が苦手な人ほどセンスで対応しようとしますが、受験数学のレベルならば、むしろ「努力」で対応できる幅のほうが広い。

というのも、難関大学の入試問題であれ、過去問や定番問題を複合した出題が多くを占めるためです。参考書や過去問をどれだけやりこんだかが反映され、これらをよく研究していれば、「あ、この問題は○○年に出た過去問の類題だな」と解けるようになります。いかなる環境でも、数冊の参考書さえあれば、十分対応可能になるのが理数科目の特徴です。

昨今は、いわゆる「チャート式」と呼ばれる辞書のような数学参考書や、『1対1対応の演習』や『理系/文系数学の良問プラチカ』などの優秀な問題集が豊富に存在します。理科科目でも、『良問の風』『名門の森』などの定番参考書がある程度固定化しており、やるべきことには困りません。

実際に、僕は高校3年の時に受けた模試で数学3点をとってしまったのですが、半年間かけて「青チャート」と呼ばれる参考書を仕上げた結果、東大入試の本番では40点近くを得点することができました。参考書だけでも、東大入試で戦えるレベルまで仕上げることは十分可能なのです。

困ったら自学自習に困らないのが、理数科目の特徴です。さらに、ある程度お金をかけられるのならば、塾や予備校に通えば、講師からの手厚い解説を基に理解を深めることもできます。

富裕層有利の受験に対抗するなら「理系」を選べ

さらに、公文式のような安価で算数を学べる塾が全国展開されていることも、追い風になります。実際に、東大生の多くは小さなころから公文式に通っています。公文式は、綿密に練られたカリキュラムに従って子供たちが自習する形で学習が進むので、本人の理解度に合わせながら学習することができます。とにかく量をこなすので、しっかりした計算力が付くことも特徴です。

当たり前ですが、これらの対策は、子供を留学させたり、海外移住したりするよりも、ずっと安価に済ませることができます。お金や余裕がないなら理系を勧めているのは、ここに理由があります。文系入試とは違って、突破口が多い分、受験の対策もある程度カスタマイズ性があります。

学校教育の現場では、今の英語有利の風潮が学生たちまで届いていません。その結果、文理選択は数学が得意か不得意か、ただそれだけで決めてしまっています。ですが、本当の論点は英語が得意か否かにあります。リスニングやライティングを含む英語が人よりも得意ならば、東大受験だって簡単に乗り越えられます。一方で、これら能力に難があると、文系受験は暗雲が立ち込めてきます。

より富裕層が有利になっていく受験の最前線。理系入試には、貧乏な境遇から抜け出るための「一発逆転」の可能性が残ります。将来の進路が決まっていないのであれば、一発逆転をかけて、東京大学や京都大学の理系を目指すのも、一つの道ではないでしょうか。

【関連記事】
受験勉強で「合格ライン」を狙うのは絶対ダメ…東大現役合格者が受験生に勧める目標設定のやり方
偏差値35からMARCHすべてに合格…「大学受験は無理」と言われていた女子高生が使った「入試のウラ技」
「小3でつるかめ算を先取り」は危険行為…算数が苦手な親ほどやらかす子供の力を奪う"間違った教え方"5つ
"ちょっとおかしくなった"わが子を温泉に連れて行ったら…灘→東大合格してすぐにAI起業の恐るべき成長曲線
「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧