大学受験や資格試験に取り組む際、目標設定はどうすればいいか。クイズ番組「東大王」に出演していた東大卒の林輝幸さんは「目標を数値化しやすい勉強で、『合格ラインギリギリの点数』を目標にするのは危険すぎる。本番では何が起こるかわからない。ある程度余裕をもって合格できる『合格平均点』を目指すべきだ」という――。

※本稿は、林輝幸『一生役立つ独学戦略』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

試験を受ける学生の後ろ姿
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勉強が続かないのではなく“目標設定”をしくじっている

勉強が長続きしない人は、「スタート時点ですでにしくじっている」といます。

つまり、目標設定の段階で、すでに勝負は始まっている。

言い換えれば、

「目標とは(大変だろうと、楽しかろうと)勉強をがんばり続けるための重要な初期設定」

ということなのです。

そうなると、どれくらいの目標を設けるのかがポイントになってきます。現実離れした目標では、勉強の理由づけ、継続力の源として機能しません。

たとえば、「100メートルを5秒で走りたい」という目標はどうでしょうか。現在の世界記録がウサイン・ボルト選手の9秒58であることから、これはあきらかに現実離れした目標です。

人間の性能にも限界というものがあります。今後どんなにスポーツ科学が発達して記録が伸びたとしても、さすがに5秒に届くことはないでしょう。

ここで浮かんでくるのは、おそらく「厳しいが実現可能な目標」と「現実離れした目標」の線引きをどうすればいいのか? という疑問でしょう。

たとえば、高3の春の段階で「東大E判定」の人が東大を目指すことは、「現実離れした目標」でしょうか?

TOEIC300点台の人が1年後に600点超えを目指すことは、「現実離れした目標」でしょうか?

繰り返しますが、目標は、がんばり続ける力を創出する装置です。

極端なことをいえば、具体的な目標のもとで勉強をがんばり続けることができるのであれば、「世界トップレベルの人ですら無理と思われる」というものでない限りは、「厳しいが実現可能な目標」としていいでしょう。

先ほど挙げた「100メートル走を5秒」は有効な目標になりえませんが、「東大E判定から東大合格を目指す」「TOEIC300点台から600点超えを目指す」は、独学の理由づけ、継続力の源たる目標として機能する、ということなのです。