独学は“鉄道”、どこへ向かって線路を敷くか

突然ですが、ここで独学を「鉄道」に見立てて考えてみましょう。

みなさんは、とある街のローカル鉄道会社の人で、「わが街の暮らしを向上させるために、1本、線路を増設する」ことになったとします。

さて、何から始めましょうか?

まず、当然ですが、「どこにつながる線路を敷くか」、つまり「終着駅」を決めなくてはいけませんね。

じつは隣町にあるB駅の周辺は非常に栄えています。そこへのアクセスがよくなったら、わが街の人たちの暮らしはぐんと向上するに違いない。ということで、B駅を終着駅として、わが街のA駅から線路を敷くことになりました。

これで新設する線路の終着駅と始発駅が決まりました。目標を定め、現在地を把握したということですね。

学びに終わりはないので、あまり「終着」という言葉は使いたくないのですが、ここでは便宜上、そう表現することにします。

ここまで決まったら、いよいよ次は実際に線路を敷く作業に入ります。これが独学でいうところの「具体的な勉強計画の設定」に当たります。しかし、線路を敷く前にやらなければならないことが、じつはもう1つあるのです。

それは、「調査」です。

線路を敷くには、周辺地域の土地を調べて、どういうルートで線路を敷くか、その場合、どれくらいの数のレールが必要なのか、といったことを把握しておく必要があります。

要するに、始点から終点までの距離や環境条件を調べる必要がある、ということです。

ゴールまでの具体的なルートを描く

いまの自分の実力を「数値」で把握することが大切といいましたが、しかし、それだけでは、おそらく適切な計画を立てるのは難しいでしょう。

次の段階として、

「いまの実力と目指したい到達点の間の道のりを、なるべく具体的に把握する」

ということをもってして初めて、適切な計画を立てることが可能になるのです。

林輝幸『一生役立つ独学戦略』(三笠書房)
林輝幸『一生役立つ独学戦略』(三笠書房)

具体的な計画を立てる前に、まず現段階での自分の実力が、どれほどのものなのかを測定します。

そこで明らかになった実力を、目指したい到達点に足るほどまでに高めるには、どんなステップを踏んでいけばいいのかを洗い出します。すると、すでに明確に見えている「目指したい到達点」と「いまの自分の実力」に加えて、その間のルートもはっきりと見えてきます。

「いまの自分の実力」からすると、「弱点は何か」「どこでつまずきそうか」「どう攻めるか」などのイメージもつかめるでしょう。

ビジネスでいえば、長期目標を達成するための「中期目標」「短期目標」が見えてくる、といったらイメージしやすいでしょうか。

ここまできたら、あとは「いつ」「何を」「どれだけやるか」を具体的な日程に落とし込んでいくだけ。これで「適切な計画」が完成します。

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