理数科目は簡単に満点を目指せる
一方で、理数科目に限ってはその限りではありません。最終的に出てくる答えをみれば一目瞭然ですし、途中式も「どこまでを書いたら○点」と決められているので、配点にブレは生じません。理科や数学は実際に満点をとっている人もいます。
私の友人には、理科と数学で合わせて240点のうち、230点近くを得点して合格した人もいます。この友人は、国語と英語の成績が壊滅的だったにもかかわらず、理数科目で合格に必要な点数の90%以上を稼いだため合格しました。
もちろん、国語や社会で満点答案を作ることも不可能ではないでしょう。しかし、それは何年も入試業界の最前線で戦い続けている予備校教師レベルの話。時には、その予備校ですらも間違いを指摘されます。東京大学の1983年の日本史の問題は、過去の予備校の模範回答と思われるものを「なぜ間違えているのかを指摘せよ」と受験生に問う設問だったといわれています。
受験生のレベルで満点合格答案を、それも一発勝負の緊張感がみなぎる入試会場で、試験時間内に作り出すのは不可能に近い。どう頑張っても、平均点前後に落ち着くのが関の山でしょう。前述した東大国語で83点を記録した私の友人は、おそらく全東大受験生でもトップ1%に入る成績だったはずです。
文系は「英語ができるかどうか」のテスト
ここで述べている内容は、東京大学に限った話ではありません。ほかの大学についても、国語や社会は点数が取りにくいのです。例えば、私立大学の社会は難問奇問が多いことで有名です。「漢委奴国王」で知られる金印は有名ですが、これがどこで出土したのか。誰が掘り出したのか。重さは何グラムで、一辺は何センチか。答えられるでしょうか。
福岡県の志賀島で出土したところまでは知っているかもしれませんが、発掘者の名前や、その重さなどは答えられないでしょう。
理系ならば、理科や数学で点数を稼げば、勝ちパターンに入ることができます。それでは、文系はどこで点数を稼ぐのか。国語や社会で点数を稼げないならば、英語で稼ぐしかありません。文系入試は、実質「英語がどれだけできるか?」のテストなのです。
もちろん、理系でも英語ができれば有利に事を運べます。しかし、理系が理数科目でも英語でも点数を稼ぐ選択肢があるのに対して、文系はほぼ英語一択。この選択肢の狭さが特徴です。