3人家族で食費が約15万円の闇

差し出された家計簿を見てみると、佐々木家の大きな問題点が見えてきました。“多忙”と“ストレス解消”から来る無駄遣いがケタ外れの大きさだったのです。

まず、雑費の多さ。夫婦ともに多忙なため、洗剤などの日用品はネット通販で大容量タイプをまとめ買いし、自宅に大量にストックしています。もちろん使い切れれば問題ありませんが、実際は余らせているものも多く、夫は「これぞ無駄遣いの極み」と自省。

次に、「忙しい日々」を埋めるための娯楽費の高さ。何だかんだと毎月のように家族で癒やしを求めて温泉やキャンプに行き、非日常を味わうことで気分転換を図っているとのこと。その額、6万円也。

板さんが握ってくれた寿司
写真=iStock.com/Chadchai Krisadapong
※写真はイメージです

そして最も気になったのは、月14万9000円もの食費。昨今のインフレを加味しても、3人家族でここまで行くケースは珍しいでしょう。

妻はフルタイムで働き、土日は中学受験を控える子供のサポートで休む暇もない。そこで妻がもともと苦手で家事全般、および平日の子供の宿題のサポートは、基本的に夫の克典さんが担っているそう。自炊はしているものの、克典さんの帰宅が遅いときは成り行きで外食になり、どうしても食費が高くなってしまうとの弁。

それでもここまで膨れ上がるのは腑に落ちません。ましてや、食費は、全体的に家計管理をしている克典さん自身がコントロールしている分野です。掘り下げて聞くと、そこに克典さんの葛藤が見えてきました。

「だって、妻は被服費や美容費にあれだけお金をかけている。片や僕は、コンサルタントとして人前に立ち、時には講師も行うのに、激安チェーン店のスーツしか着ていません。それに、同じ“忙しい身”でありながら、妻がネイルサロンでストレス解消している間に、帰宅してソファでパタッと倒れ込んでいる間や、僕は子供の宿題を見て、お風呂を掃除して、食事の後片付けまでしている。なぜ僕だけがここまで我慢しなければいけないのか。そう思うと、腹が立って腹が立って……。そのうっぷんを、おいしいもので晴らしているんです。これくらいしたって罰は当たりませんよね?」

ため込んでいた不満を爆発させた克典さん。異常な食費の高さは、克典さんのストレス度をそのまま表していたのです。