現在の黒字額を貯金し、さらに10万円を削って投資を

そのほか、夫婦ともに少しずつ無駄を見直し、半年後には月18万5000円も削ることができました。すでにカツカツの家庭と違って、もともと豪快にお金を使っている家庭ですから、ここまで削ることに大きな苦労はなかったようです。裏を返せば、それほどムダがあったというわけです。

改善後の家計は、手取り月収89万円のうち、生活費は61万1000円、黒字額は27万9000円に。大成功……と言いたいところですが、妻の被服費や娯楽費、外食費などはまだまだ削れます。

マグカップを手に、夫婦で向き合って話し合い
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです

夫婦で足並みそろえて節約道を進み始めた克典さんに、私はこうアドバイスしました。

「現状の黒字約28万円は、克典さんのボーナスがない分、生活防衛費として、生活費(月約60万円)の1年分、つまり720万円程度に貯金を増やすことをまずは優先した方が安心できると思います。

相談当初で500万円の貯金はありましたが、私立中学に入れば、学費のほか入学金から寄付金、修学旅行費まで、年間100万円はかかり、貯金は増やさないと高校に入れば貯金は底を尽きます。今の塾代は、中学、高校になっても通い続けるため、そのまま払い続けるものと覚悟すべきです。

一方で、月の生活費は今の61万円から50万円未満にさらに削減して、捻出した月10万円を積み立て投資を始めて老後資金を作っていかれてはどうでしょう?」

――克典さんは、現在55歳。今から始めても、65歳、あるいは70歳の定年まで10~15年程度しか積み立て投資ができません。時間を味方にする積み立て投資は、1日でも早く始めた方が賢明です。

とはいえ、この一家の先行きは明るいでしょう。先頭に立つ克典さんは、妻をうまくコントロールできるマネーリテラシーと力量がある男性です。あれだけ浪費していた妻を、彼の一言で、ここまで変えられたのですから。その“実績”からも、克典さんの仕事、ひいては年収も本人が懸念するほど下がらないだろうと見ています。

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