Q6 5年生になるタケオくんは、お母さんにこづかいの交渉をしたところ、AプランとBプランを提示されました。どちらでもらうのがトクでしょう? 【Aプラン】1年目は5000円で、毎年1000円ずつ増やす。【Bプラン】半年で2500円、6カ月ごとに250円増やす。

A これはパッと見ただけではわからない問題です。紙と鉛筆を使って、タケオくんがAプランとBプランそれぞれの場合で、半年ごとにいくらもらえるかを書き出してみましょう。

【図表3】考え方のヒント
撮影(物)=市来朋久

半年で2500円も、年間で5000円と変わらない。半年で250円アップするということは年500円しか増えない。だから年1000円増えるAプランのほうが得だと考えがちですが、結果はさにあらず。

Aプランの場合、1年目は5000円で、2年目は6000円、3年目は7000円と、毎年1000円ずつ増えていきます。一方、Bプランは半年で2500円ですが、さらに半年後に250円増えて2750円になるので、最初の1年間では5250円になる。

Bプランでも毎年1000円ずつ増え、結果的には最初の半年目にもらった250円の差がずっと続くため、Bプランのほうが毎年250円多いというわけです。

5000円札の樋口一葉と1000円札の野口英世
写真=iStock.com/powerofforever
※写真はイメージです

結局、数学において直感はあてにならず、どんなささいな内容でも計算しなければダメなのです。

たとえば「富士山を動かすには何年ぐらいかかるか」「シカゴにいるピアノ調律師の人数は」といったフェルミ推定という問題が、グーグルなどIT企業やコンサルティング会社の入社試験によく出ます。これも単なる直感ではなく、問題をいくつかの要素に分解して理詰めで一つずつ概算していかなければ解けません。思考がワンステップの直感であるのとは異なり、概算はこのいくつかのステップを経て、精度がより高まるのです。

ですから、計算をせず思いつきで答えるのではなく、まず計算式を考え、それに数字をあてはめ、比較するというように、常に三つぐらいのステップをとるといいでしょう。損をしないためにも、きちんと計算するくせをつけることが大切です。(答え Bプラン)

教える人 竹内薫さん
YES International School校長。サイエンス作家。1960年、東京都生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了。NHK Eテレ「サイエンスZERO」ナビゲーターなどメディアでも活躍。2016年にYES International Schoolを開校。
(構成=勝亦理美)
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