※本稿は、『プレジデントFamily 算数が大得意になる 2023完全保存版』(プレジデントムック)の一部を再編集したものです。
Q4 直径1cmの乾電池を、2cm×100.5cmの長方形の箱に詰めます。最大で乾電池はいくつ入るでしょう?
(前編Q1~3から続く)
A 普通に考えれば、端からぴったり2本ずつ入れていき、2×100で計200本という答えになるでしょう。でも、驚くべきことに、詰め方を工夫すれば201本入るのです。
これは、数学関係者の間ではよく知られている問題で、パッキングという分野に属します。ある決まった形状の物を、限られた空間に効率よく詰めていく。そのためには、乾電池と乾電池が接するすき間を小さくすればいいのですが、2本ずつ四角のパターン(図表1参照)で詰めていくと、4本の乾電池の真ん中が大きく空いてしまいます。
そこで、乾電池を三角のパターン(図表1参照)で詰めることを考え、その三角のパターンを互い違いに繰り返していくのです。こうすると、最初と最後の部分にはたしかに大きなすき間ができますが、途中部分でのすき間が少ないため、結果的に乾電池が1本多く入るだけのスペースが生まれるというわけです。
ちなみに箱がもっと長く、2cm×1000cmだったら、さらにすき間ができて2011本入ります。これは離散数学という分野で、計算で求めるには三平方の定理と平方根の知識が必要になります。大学、しかも数学科の人しか学ばないような複雑な計算式ですが、中学生ぐらいでも数学が好きな子であれば理屈はわかるはず。
私たち大人は、年齢を重ねるうちに知らず知らず一定の思考パターンに陥っています。でも、こういう常識を覆すような事象を目の当たりにし、「なぜそうなるのか」を知るだけでも刺激になります。子供の頃の自由な発想と、大人の知恵がバランスよく合わさった「しなやかなアタマ」をめざしたいものです。(答え 201本)
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