保険の仕組みは「宝くじ」と同じ

【後田】ですから、繰り返しになりますが、子育て中の現役世代が一定期間、掛け捨ての死亡保険を利用するくらいが好ましいと思います。

後田亨『この保険、解約してもいいですか?』(日経BP)
後田亨『この保険、解約してもいいですか?』(日経BP)

【美香】なんで、子育て中の死亡保険なんですか?

【後田】何より、理に適っている、合理的だと思うんです。

【美香】どういう意味でしょう?

【後田】保険の基本構造は「宝くじ」と同じです。宝くじというのは、単純に言ってしまえば、「大勢の人」から集めたお金が、「少数の人」に分配される仕組みです。宝くじでは、ラッキーな人がお金をもらいますが、保険ではアンラッキーな事態に遭遇してしまった人がお金をもらいます。運悪く事故に遭ったりした人のために、皆が少しずつお金を出し合うのが保険です。私の好みではないですが、「不幸くじ」と呼ぶ人もいます。

【有司】言われてみれば、確かにそうですね。

【後田】この仕組みでは「運悪く、お金を受け取る人」が少ないほど、安い掛け金で保険から給付されるお金の額を大きくすることができます。

【有司】確かにそうだ。でも、そんなふうに考えたこと、なかったです。

おすすめは「現役世代の掛け捨て死亡保険」

【後田】死亡保険の話に戻れば、子育て中の現役世代であれば、死亡率は低い。ですから、子どもが自立するまでと区切って死亡保険に入れば、月々数千円の保険料で、世帯主が亡くなったときに1000万円単位のお金を用意できます。理に適っているというのは、そういうことです。

世帯主が亡くなると収入が大きく減って困るでしょう。1000万円単位のお金が手元にあれば何とかなるかもしれませんが、一般家庭で、それだけのお金を貯めるにはかなり時間がかかります。そんなとき、保険で収入を補塡ほてんできれば助かりますよね?

【有司】なるほど。

【後田】ただし、このケースであっても、先ほどお話ししたように、保険料から数十パーセントの経費が引かれることは変わりません。つまり保険というサービスの利用料は高い。なので、子育て中の世帯主の死亡時のような重大事に限定するわけです。

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