「おひとりさま」に生命保険はいらない

【五十嵐夫妻】えっ⁈ 全部ですか?!

【後田】はい。先にいただいた資料によると、五十嵐家が今、お入りになっている生命保険は5本ですね。保険料の多い順に挙げると、

1.終身保険――世帯主(有司)の死亡に備える保険(米ドル建て)
2.収入保障保険――世帯主(有司)の死亡に備える保険
3.学資保険――子どもの進学に備える保険
4.医療保険(有司)――病気やケガによる入院などに備える保険
5.医療保険(美香)――病気やケガによる入院などに備える保険

となります。私は、五十嵐家が入るべき生命保険は、最終的に1本だけだと考えています。その1本については、今、お入りになっている保険の「入り直し」をお勧めします。

【有司】今日、僕らも保険に入るのは必要最小限にしたいと思って、ここに来ています。ただ、本当に1本だけでいいのか……。後田さんのおっしゃる「入るべき1本」というのは、どんな保険ですか?

【後田】それは、おいおいご説明していきます。ただ、最初に大事なことを2つだけ、申し上げます。まず、必要なのは、世帯主の死亡に備える保険1本だけ。それも期間限定でいいと、私は考えます。

【有司】例えば、結婚していなかったら、生命保険は要らない、ということですか?

【後田】基本的には、そうなります。養うべき家族がいないのならば、生命保険はゼロでいいと思います。

【美香】じゃあ、「おひとりさま」には、生命保険は要らないと?

【後田】ええ。ご結婚されていても、お子さんがいらっしゃらなければ、生命保険は要らないと思います。実際、私はそのパターンで、民間の生命保険には1本も入っていません。

電卓でお金の計算をする人
写真=iStock.com/Ivan-balvan
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入るべきなのは「掛け捨て」の保険

【後田】もう一つ、最初に申し上げたいのは、「入るべき1本」は、いわゆる「掛け捨て」の保険だということです。

【美香】うーん……。私は正直、掛け捨てって損じゃないのかな、と感じているんです。

【後田】そうでしょうね。でも「保険の一番いいところって何だろう」を考えると、答えは明らかなんです。

【有司】「保険の一番いいところ」ですか?

【後田】はい。例えば、今日、1000円払って死亡保険に入った人が、明日、亡くなったとしたら、1000万円が遺族に支払われる。それが保険のいいところです。つまり「まとまっていないお金」で「まとまったお金」を用意できる。そして、1000円しか払っていない人に、なぜ1000万円の死亡保険金を支払えるのかというと、死亡することなく、無事に過ごしている人たちが払った保険料が使われて、返金されないからです。このお金の流れはわかりますよね?

【美香】はい。お金の流れはわかります。