地銀やネット銀行は住宅ローンを縮小できない

金融機関にとっての基本業務は、「お金を貸す」ことと「お金を集める」ことにあります。特に、「お金を貸す」、つまり住宅ローンや法人向けの事業資金の貸出といった業務は金融機関の基本業務と言えます。近年、住宅ローンの貸出は競争が激化しており、各金融機関で金利競争や団体信用生命保険を手厚くして顧客獲得に躍起となっています。

そこで、50年ローンによって、昨今の不動産価格の高騰に追いつけていない若年層を顧客として取り込むことを狙っているのです。住宅ローンを利用してもらえれば、預金確保もできるため、金融機関にとってはメリットがあります。返済のための預金口座は給与振込先にもなります。

若年層では35年返済となると毎月の返済余力には対応しにくい場合もあり、50年返済であればようやく余力ができるというもの。特に、地方銀行が50年ローンの取り組みに比較的積極的なのは、ネット銀行に取られがちな住宅ローンに対抗するためでもあり、加えて、若年層にその地域に居住してもらうことで地域の発展や活性化に繋がると見ているようです。

メガバンクが住宅ローンの事業を縮小する中、地方銀行やネット銀行には住宅ローン事業を縮小するという流れは難しいということが理解できます。

「親子75年ローン」も登場するかもしれない

また、不動産デベロッパーにとっては、このところの不動産価格の高騰でも購入希望者がおり、その希望に叶う住宅ローン商品が追いついていない状況のようです。

地方都市でも億ションが売り出されている時代、借入上限の引き上げや返済期間の長期化は億ションを買ってもらうには必須条件になりつつあります。手元資金が潤沢にあっても、低金利のローンを組んでマンション購入をするケースも多く、低金利の恩恵を受ける傾向にあります。

このようにお金を貸したい金融機関と、高騰している不動産をできるだけ多くの人に買ってほしいという不動産デベロッパーの思惑が、50年ローンという商品を生みだしたと言えるのです。

50年ローンが軌道に乗れば、さらなる長期返済のローン商品が親子ローンとして登場する可能性があります。現在の親子ローンのように年齢や条件には制限はありますが、「75年ローン」は現実味がありそうです。例えば、子どもさんが法律行為のできる18歳以上になった段階で75年ローンを組むということは可能性としてあるでしょう。

債務者が1人の場合は返済期間には限度がありますので、単独での75年とか100年ローンは難しいかと思います。金融機関側にとっては、返済の原資となるものや不動産の担保を踏まえての融資となりますので、現状ではなかなか対応しきれないと感じます。