金利が上がったスウェーデンでは住宅価格下落

超低金利が続く日本では、住宅ローン利用者の7割が変動金利を選択しています。特に首都圏の不動産価格の高騰を受けて、長期返済とは別に変動金利を利用することで、当面は月々の返済額を抑えることができます。

したがって、億ションのタワマンでもパワーカップルであればローンを組んで買うことができてしまうのです。しかしながら、いずれ訪れる金利上昇を踏まえてリスクを考えることが重要です。

たとえば、スウェーデンでは、日本同様に利用者の7割が変動金利を選択しています。しかし2019年にマイナス金利政策を解除し、その後の政策金利が4%になったため、変動金利の住宅ローンも上昇しました。結果、ローンの返済負担に耐えられず、住宅を手放さざるを得ないケースが発生し、住宅価格の下落が目立つようになりました。

当面は変動金利のリスクをあまり感じないかもしれませんが、スウェーデンの現状を見ると、いずれ日本にも訪れる未来のように思えます。

住宅ローンの金利のイメージ
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50年ローンと変動金利は確かに便利だが…

不動産価格が高騰するなか、長期返済と変動金利は借り手のメリットが大きく不動産を買いやすくしています。しかしながら、金利が上昇局面に転じてしまうとローン返済が滞り始め、不動産を売りたいという人が増えれば、価格を安くしないと売れないという状況に陥ります。これまで不動産バブルの崩壊を繰り返してきた現実を見ていると、この状況は気がかりでなりません。

さきほど、1億円のマンションを50年ローンで買ったシミュレーションを紹介しましたが、ここでは金利上昇が起きた場合を想定して、月々の返済額と総返済額を見てみましょう。

50年ローンの金利を変動金利の0.47%で計算した場合、ボーナス返済なしとして月々の返済額を計算すると18万7048円となります。この金額をみれば都内の3LDKの賃貸マンションの賃料より安く感じます。

こんなことは想定しにくいですが、仮に金利が50年間変わらないとした場合、返済総額は1億1222万9277円となり、約1200万円は利息となります。