その意味でいま注目したいのは、デジタルフォトフレーム市場だ。
この市場はソニーが08年に参入して火がついたが、以降さまざまなメーカー、富士フイルム、コダック、LG、サムスンなど、電機メーカーだけでなくフィルムメーカーやカメラメーカーも参戦し、現在は異業種格闘のごとく百花繚乱の様相を呈している。
しかも今年になってからは、純粋な意味でのデジタルフォトフレームではないものの、IT総合メーカーともいえるアップルがiPadを発売し、この市場の顧客を結果的に奪っていくだろう。
そうなると、デジタルフォトフレーム市場はブルーオーシャンどころか、まさしくレッドオーシャン(血で血を洗う競争状態)と化す。市場性が高いからといって安易に参入すると、予想だにしなかった異業種企業をも交えた果てしなき消耗戦へと巻き込まれることになる。おそらく数年後、この市場で生き残っているのは1~2社だろう。
では、具体的に新規事業のリスクをどのように判断すればいいのか。
比較的取り組みやすいのは「シナリオプランニング」だろう。
未来が確実に予測できるなら、新規事業のシナリオは一本道でいい。しかし、現実はコントロール不能で予測のつかない要因に溢れている。
シナリオプランニングは、そうした不確実性があることを認めて、リスク要因ごとに複数のシナリオをつくって全体のリスクを管理する手法である。
やり方を簡単に紹介すると、まずプロジェクトを進めるうえで不確実性が高く、なおかつ影響度の大きいリスク要因を抽出する。リスク要因が2つなら、2×2で計4つのシナリオができる。
このうち自社に最も都合のいいシナリオはリターンが大きく、都合の悪いシナリオはリスクが高いといえる。あとはそれぞれのシナリオに設定した先行指標をモニタリングし、どのシナリオに近づいているのかによって、リターンやリスクを評価する。