「イノベーション」はもはや通用しない!
曳野 孝
京都大学 経営管理大学院准教授
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在学中に渡米。ハーバード・ビジネススクール上級研究員、MIT国際関係研究所研究員等を経て1998年4月より現職。
京都大学 経営管理大学院准教授
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在学中に渡米。ハーバード・ビジネススクール上級研究員、MIT国際関係研究所研究員等を経て1998年4月より現職。
経済学者ジョセフ・シュンペーターは「イノベーション」の概念をつくり5つ(1.新しい財貨の生産、2.新しい生産方法の導入、3.新しい供給地の開拓、4.新しい仕入れ先の獲得、5.新しい組織の構築)に類型化した。これらの戦略は現代のビジネスでも示唆に富むが、当時と現在では状況が異なる。当時は市場そのものが発展段階で不完全なものだったのに対し、現在は市場が成熟し、決定的に競争的になっているのだ。
経済学の理論では、市場が完全競争下では経済学上の企業の利潤はゼロに近づく。ここから抜け出すためには、独占的な要素を持ち込む必要がある。決定的に競争的な現在の市場では、イノベーションによる差別化が大切だ。
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