リタイアしたお金持ちに納税させる方法

後者のヨーロッパ型の場合、「負担」を集める方法は消費税(あちらでは付加価値税と呼んでいます)しかありません。仕事はリタイアしたけれど財産をたくさん持っているお金持ちからは、所得税(一年間働いて得たお金に紐付く税金)を集めることはできないからです。

年齢にかかわらず、たくさんお金を使うお金持ちから多くの税金を取るため、ヨーロッパ諸国では買い物のときに15〜27パーセントと、日本の感覚では非常に高い税が課されているのです。みなさんもヨーロッパに旅行に行ってレシートを見たら、びっくりすることでしょう。

じゃあ日本も「オール・サポーティング・オール」にすればいいじゃないか、と思いますよね。

ところが日本では、このやり方に反対を唱える人が少なくないのです。それはたいてい、消費税の増税に反対する人です。「オール・サポーティング・オール」を実現するためには、ヨーロッパ諸国のように高い消費税をかける必要がありますからね。

「生きていくために必要な物資の消費税が上がれば、所得の低い人の生活が大変になる。不公平だ。消費税の増税は弱いものイジメだ!」
「いままで以上に、高所得者からどんどん税金を取ればいいじゃないか!」

一度は耳にしたことのある議論かと思います。

所得税より消費税を引き上げるほうが正しい

さあ、自分の頭で考えてみましょう。これらの主張は、合理的でしょうか?

まず感情的に、消費税が増えるのは嫌なものです。収入は変わらないのに、出ていく分だけ増えていくのは困ります。

それでも、社会を持続させるために「オール・サポーティング・オール」に舵を切るためには、所得税率よりも消費税率を引き上げるのが正しい選択だと断言できます。なぜか。お金持ちは、お金の使い方が文字どおりケタ違いだからです。

もちろんそうでない人もいますが、基本的には、所得(いくら稼いだか)と消費(いくら使うか)はおおむね比例します。たくさん稼ぐ人は、10万円するディナーを食べたり、1000万円の車を買ったり、1億円の家を買ったりするわけです。