あと一歩のところで「祖国統一」中断
第二次世界大戦後、中国共産党は国民党との間で内戦を繰り広げ、多大な犠牲を出しながらも国民党軍を台湾に追い詰めました。さらに台湾に攻め込むために、台湾の対岸に人民解放軍を集結させます。
「さあ、あと一歩で祖国統一の偉業を成し遂げられる」となったところで、朝鮮戦争が勃発。中国は、北朝鮮を支援するため、台湾侵攻は一時棚上げ。人民解放軍を朝鮮半島に送りました。
当時の台湾は国民党の一党独裁でした。独裁者の蒋介石が統治していました。蒋介石は、「いずれ大陸に反攻して中華民国を復活させよう」という野望を抱き、「中国は一つ」と主張していました。「中国は一つ」という点では中国共産党と同じだったのです。
民進党の「台湾独立」を認めない背景
しかし、蒋介石が死去すると、野党の存在が認められ、民主化を進めた李登輝総統の時代に民進党(民主進歩党)が大きく成長しました。遂には政権を獲得します。民進党は、もともとの主張が「台湾独立」でした。もし台湾が独立してしまったら、中国共産党の悲願は潰えます。それゆえ中国は民進党の蔡英文総統の政府に厳しく当たっているのです。
さらに中国にはチベット自治区や新疆ウイグル自治区など、独立をうかがう民族もいます。彼らを勢いづかせないためにも台湾独立はありえないというわけです。