各種の行動実験をおこない、クライアント各社で好評であったのが、前述した「数字の『8』をたくさん並べて感情を共有すること」です。これは、「88888」とチャットで送信することで、「パチパチパチパチパチ」=拍手を意味します。
参加者が素晴らしい発言をした後にこの「88888」チャットに投稿するのです。6割の人がこの意味を知りません。
「この8の連続はなんなんだ?」と聞かれたら、「えっ、知らないのですか? 拍手の意味ですよ。あなたが素晴らしい発言をしたから拍手したのです!」と伝えてください。
さきほどの「承認欲求」の中の「行動承認」をしたことになります。発言という行動に対して認めれば、相手の「承認欲求」が満たされます。
相手を認め合うカジュアルなコミュニケーションによって空気が温まり、過剰な気遣いをして発言を控えるといったネガティブな行動は抑えられます。
素晴らしい発言の後は「88888」で拍手を表現してみてください。
「遅れるなよ」では言われないと動かない人を生み出す
⑤ポジティブに変換する
チャットでは熱量を伝えることは難しく、伝えたい情報を強調しようとして「!(ビックリマーク)」や「重要」の文字を使うこともあるでしょう。
しかし、多用して見慣れてしまうと強調効果は薄らいでしまいます。
絵文字やアイコンなどで視覚を使って訴えることは必要ですが、その文章の中身で惹きつけないといけません。
相手に心地よく動いてもらうために、「これ、やった方がいいな」と受け手の内発的動機づけを試みた方がよいのです。
例えば、待ち合わせをする時に「遅れるなよ」と言われるより、「早めに来てくれると嬉しい」と言われた方が心地よいのと一緒です。
遅刻常習者に対しては「遅れるなよ!」と言いたくなるのは分かります。
教育指導として強く言う必要もあります。
しかし、そうした強い指示や恐怖で人を動かそうとしたら、言われないと動かない人を生み出すことになってしまいますし、伝える側もストレスが溜まります。
そこで、チャットでの依頼はポジティブ変換して、「やらなきゃマズいな!」と思わせることを心掛けてください。