ユタ州の教師の給料が高く設定されている理由について、民間NPOの地域計画団体であるエンビジョン・ユタのジェイソン・ブラウン氏は、教師に十分な生活資金を提供し、教職募集の競争力を高めるためだと説明している。ブラウン氏はディザート・ニュースに対し、「教育という選択を彼ら(大学生たち)が排除しなくて良いようにするためにも」、ユタ州の教師の給与を上げることが急務だと語った。
クレセント小学校のキャミー・モンタギュー校長は、好待遇は特に学生ローンを抱えている学生に対し、学区に引き寄せるうえでの有力な材料になっていると語る。好待遇により、学生たちは教職課程で費やした学費を補うことができるため、「そのような金額を提供できることは、間違いなくゲームチェンジャーです」と彼女は語る。
キャニオンズ学区は数年前に隣接のジョーダン学区から独立したが、以来、教師たちを手厚く迎えたいという学区の意向が実り、給料は上昇を続けている。
キャニオンズ学区の中等教育採用を担当するケリー・タウテオリ氏は、「2009~10学年度に学区がスタートしたとき、初任給は3万2407ドル(約482万円)でした。15年間で6万ドル(約890万円)台に跳ね上がりました。信じられないことです」と語る。
配送ドライバーの年収が「2500万円超」に
ほか、アメリカのさまざまな業界で賃金上昇が相次ぐ。米経済・ビジネス専門のCNBCは8月、配送会社の米UPSの労働者組合「チーム・スターズ」が、賃金改定を含む新たな労働契約を承認したと報じている。アルバイト・パートタイム労働者の最低時給は現在の15.50ドル(約2300円)から21ドル(約3120円)へ改められた。35%の上げ幅となる。
フルタイム勤務のドライバーについては、年収370万円増となる見通しだ。CBSニュースが報じたUPS試算によると、同社のフルタイム労働者の平均年収は、現行の年収約14万5000ドル(2160万円)から、今後5年間を通じて17万ドル(2530万円)にまで段階的に引き上げるという。この金額には医療保険や年金などの諸手当も含まれている。
比較として、日本の厚生労働省が発表する「令和4年賃金構造基本統計調査」では、日本人の一般労働者の男女計平均賃金が311万8000円となっている。UPSのフルタイム労働者は今後5年間で、日本人1人分の平均賃金以上の額が上積みされる計算だ。
ほか、航空業界でも昇給の動きは顕著だ。CNBCによるとアメリカン航空のパイロット組合は、拠出年金(401k)を含む報酬を約46%増とする4年契約を承認。デルタ航空のパイロット組合も30%増以上の昇給を含む協定を今年初めに承認している。