台所から有害物質が家全体に広がっていた

米スタンフォード大学の研究チームが、家庭用ガスコンロの危険性を明らかにした。

研究チームが著し、科学ジャーナル『Environmental Science & Technology』に掲載された論文によると、ガスコンロでの燃焼により発がん性物質のベンゼンが生成され、調理終了後も寝室を含む家庭内に数時間にわたって滞留するという。

ガスコンロ
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
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ベンゼンは製油所やたばこの煙などにも含まれる有害な化学物質だ。これが家庭のガスコンロからも生じていたことを、初めて定量的に明らかにした。

研究チームは論文で、「ベンゼンにさらされることで、がん、がん以外の健康への影響を引き起こす」と指摘している。比較的短期間でも一定量以上を吸い込むことで、がん以外の影響として、血球の産生が抑制される。慢性的に吸い込むと、がんの一種である白血病やリンパ腫のリスクが増大するという。

研究グループによると、アメリカではガスコンロで調理する家庭が全家庭の3分の1以上(4700万世帯)を占める。ニューヨークやカリフォルニアなどの一部都市において、新築物件へのガスコンロの導入を禁止するなどの対策が進んでいる。

専門家は今回の研究を受けてパニックになる必要はないと強調しながらも、窓を開放した換気など適切な対策を講じるよう呼びかけている。

ベンゼン濃度はたばこの副流煙以上

実験で研究チームは、カリフォルニア州および西部コロラド州の複数の家庭を訪れた。ガスコンロおよびガスオーブン計33個を1台ずつ稼働させ、空気質の変化を確認した。

強火のガスコンロ、または約180℃に設定したガスオーブンを45分間使用した場合のベンゼンの排出量は、2.8~6.5μg/分だった。これは電熱線式のコンロと比較して10~25倍の高さだという。

キッチンで観測されたベンゼン濃度は、最大で11.6ppbvとなった。OEHHA(カリフォルニア環境衛生危険性評価局)が定める急性暴露基準値の8ppbvを上回る。この実験のおよそ3割のケースで、室内における受動喫煙として許容されるベンゼン濃度(0.34~0.78ppbv)の上限を上回った。