すべてのことに意味はない

「人はどうせみんな死ぬ」と思えば困難や挫折に打ち勝つための勇気がわき、どんな困難な状況でも、最終的には死という現実に向き合うことを考えると、その困難が乗り越えられないものではないことに気付き、様々な試練に対して前向きな態度を持つことができるとか言う人がいるかもしれませんが、ただの誤魔化しです。

中田考『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』(実業之日本社)
中田考『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』(実業之日本社)

どんなに困難を乗り越えても、結局死ぬのですから、わざわざ困難に立ち向かって辛い思いなどする必要はありません。

また自分の人生に限りがあることを意識することで、自分が成し遂げたいことや達成したい目標に向かって、より積極的に取り組み、自分自身を向上させれば、人生の中で達成感や充実感を得ることができる、などと言う人もいるかもしれませんが、それも変な話です。

何を成し遂げようと、どんな目標を達成しようと死ねば全部消えてしまいます。何をしようとも、その時だけでも楽しいなら、別にケチをつけようとは思いませんが、どうせ消えてしまうことを何か意味があるかのように嘘をついてけしかけてやらせるのは、詐欺とまでは言わないとしても、余計なお世話でしかありません。

「映える」死に方を考えてインスタに投稿しよう

「人はどうせみんな死ぬ」から、どんな状況でも、どんな選択でも、人生は自分自身が創り上げるものであり、死を受け入れ、人生を大切に生きることで、自分自身が主役の人生を創り上げ、「人はどうせみんな死ぬ」との事実を力に変えて、自分の人生を最高のものにしよう、などと言う者の言葉に耳を傾けることはありません。

コーランにも以下のように言われています。

「誰でも皆死を味わう。だが復活の日にはあなたがたは報いを受ける。それで業火から遠ざけられ楽園に入れられた者は確かに成功したのである。この世の生活は偽りの快楽に過ぎない」(コーラン3章185節)

人生は自分のものでもなく、自分が創り上げるものでもありません。人は知らない間に生まれ、自分の意志に反して死ぬだけです。人生が自分のものであり、自分で創り上げる、などと考えるなら、自分で死ぬしかありません。

今の流行りなら、思い切り「映える」死に方を考えてインスタに投稿する、といった生き方/死に方が、一番よさそうです。

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