幸せに生きるにはどうすればいいか。イスラーム学者の中田考さんは「結局はどう生きても人間は死ぬもの。人生自体が一番楽しいゲームであり、遊びであることを知ることだ。仕事の役に立つからとか、自己実現のためとか、人間関係を広げてコネを作るとか、ストレス解消のためとか、何かのために遊んだのでは遊びの悦びは失われてしまう」という――。
※本稿は、中田考『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
「仕事が楽しくない」のは、お金に働かされている状態
人生は遊びです。
遊びというのは、真剣にやらないと楽しくありません。
そして、人生自体が一番楽しいゲームであり、その手引書がコーランです。
よく仕事が楽しくないという人がいますが、それはその仕事を自分のためにしていないからです。
有名な哲学者カール・マルクスの疎外論というものがあります。
これはマルクス主義の経済・社会的理論の根幹を成す概念で、労働者が自分自身の労働から疎外(エイリエンテーション)されるという考え方です。
つまり資本主義社会において、労働者は自分が生産する製品やサービスから切り離され、それが自分自身のものではなく、他の人(資本家)のものになってしまうということをマルクスは指摘しているんです。
今の日本のような資本主義の世の中では、お金がないと生きていけないと思い、お金をもらうために働きます。お金を持っている人はお金で人を働かせることができます。お金が主人になって、人間はその奴隷になって働いているのです。
自分のために働いていない。お金に働かされている。これが「仕事が楽しくない」と思う最大の原因です。