「使えない英語」を教える間違いだらけの学校教育

学校教育を司る文部科学省が、日本人の学力を衰退させているという現実が、あらためて浮き彫りになった。英語のスピーキングテストで、衝撃的な結果が出たのだ。

7月31日、文科省は「令和5年度の全国学力・学習状況調査の結果」を公表した。調査は小6と中3を対象としており、教科は小6が算数と国語、中3が数学と国語、そして英語だ。

英語は「聞く、読む、書く、話す」の4技能を問われるが、そのうち「話す」について、5問の出題で平均正答率は12.4%。6割以上が0点だった。

【図表】中学英語【話す】の正答数分布グラフ
平均正答数は0.6問/5問。6割超の生徒は1問も正答することができなかった。 出所=国立教育政策研究所「令和5年度 全国学力・学習状況調査の結果」

私も実際にスピーキングテストの問題を見たが、とくに高度なことは尋ねられていない。ただ、質問されてから回答するまでに使える時間が短い。普段から英会話に慣れている人ならなんてことはないが、学校の英語教育しか受けていない中学生はあたふたしている間に時間切れだろう。これでは、0点が続出したのも納得だ。

なぜ回答時間が足りなくなるのか。それは日本の学校の英語教育が「和文英訳」「英文和訳」「文法」の3つを教えるからだ。あたりまえだが、英会話とは英語を聞いて英語で返す会話のことである。ところが、日本ではその3つを教えているので、英語を聞いたらいったん頭で文法構造を理解してから和訳をすることになる。そして、返答を日本語で考えたら、それを英訳して相手に返す。たかが会話なのに、ムダなプロセスが多すぎるのだ。