人の心は揺れるのが常である

道場を訪れる取材者からはじつにさまざまな質問をされる。そのなかで、こんなことを聞かれたことがある。

「何かあっても“揺れない心”でいるにはどうすればいいですか?」

桜井章一『雀鬼語録 桜井章一名言集』(プレジデント社)
桜井章一『雀鬼語録 桜井章一名言集』(プレジデント社)

だが、その質問者はおそらく、“揺れない心”について勘違いしている。なぜなら、生の感情を持って生きている限り、人の心は常に揺れているものだからだ。

感情を押し殺しても、心は見えないところで揺れている。どんなに冷静に見える人でも心は揺れている。だから心を揺らさないようにもっていくことは、不自然であり、そもそも無理のあることなのだ。

問題は、心を揺らさないようにすることではなく、ちょっと揺れすぎたなと思う心をどうやって元のふだんの状態に戻すかである。それが本来の意味での“揺れない心”である。

心を真ん中に置け

私が思う“揺れない心”とは、感情のバランスが崩れても、それをいい方向へコントロールできる心のことだ。心の傾きを修正し、バランスのとれた状態へとすぐに戻せる心が、“揺れない心”である。

揺れた状態を素早く元に戻すには、心の重心を真ん中に置いておくことである。左右のバランスのとれたシーソーの支点と同じで、心の支点が真ん中にないと、感情のバランスは崩れたままになってしまう。

支点を心の真ん中にピタリと置く。それが、ちょっとした揺れをすぐに元に戻すコツなのである。

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