ひたすら「足す」生き方にはゴールがない
人の悩みの多くは、「何かが足りない」という思いから来ている。お金が足りない。仕事が足りない。健康が足りない。評価が足りない。愛が足りない……。
欲望というのは際限がないから、傍から見て「もう十分じゃないか」と思うような人でも、本人は「まだ足りない」という不満を感じている。
昨今はネット上で、これみよがしに「お金も美しさも名声もこんなに恵まれているんですよ」というアピールをたくさんの人がこぞってしている。だからなおさら、人と比べて足りないものを強く感じたりするのだろう。
だが、足すことを目標にした生き方は、はっきりいって不幸である。足すことにはゴールがないゆえ、常に心が満たされることがないからである。
もう、足りている
さらに問題なのは、すでに自分の手のなかにあるものに心を向けることもなくなってしまうことである。
たとえば、「6」足りていて「4」足りないとしよう。そのとき「6」の部分の有難さは十分に自覚されないから生かされていない。「6」の部分は、まったくもって「もったいない状態」にあるのだ。だが、「6」の部分の価値に気づき、それをフルに生かすことができれば、今の状態でもすでに十分間に合っていることがわかってくるだろう。
人と比べない。そして今すでにあるものにしっかり目を向け、その価値に気づく。そうすれば、実は「もう足りている」状態にあることが感じられると思う。
そして本当に必要なもの、大切なものが何なのか、改めてはっきりしてくるはずである。