考えるな、感じろ

ところで、ビギナーズラックという現象はなぜ起こるのか、ご存じだろうか。競馬やポーカーなどの賭け事を初めてやった人が当たったりするのは、余計な情報や知識がない分、まとを射る直観が純粋に働くからである。

人の頭は、情報や知識が多いと選択肢が増え、迷いが生じやすくなる。つまり、考えれば考えるほど、的が見えにくくなってしまう面があるのだ。

しかし、何の情報も知識もなければ直観で当てていくしかない。

実は、直観はかなり高い確率で物事を当てることができるものである。もちろん個人差があるが、普段から感性を磨いている人であれば、7割以上の精度は十分持ちうる。

麻雀は将棋や囲碁と違って、思考よりも、勘やひらめきといった感覚を使う比重が非常に大きい。考える癖の強い人は、麻雀を打つ際にそのことが邪魔になる。

私が麻雀の勝負で負けることがなかったのは、感覚を何よりも大事にして打っていたからだと思う。

空で羽ばたく鳥の風景イラスト
写真=iStock.com/panchro gelatin
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思考のロックを外せ

現代社会は、知識や情報にとても大きな価値が置かれている。それゆえ、直観などの感覚的なものは見過ごされがちだ。

だが、ふだんさまざまな物事を判断するときは、意外と感覚的な判断が重要な役割を果たしているものだ。そのことにもっと意識的になったほうがいいだろう。

思考が混じると感覚はにごる。ゆえに物事の核心をつかむには、思考のロックを外して感じる力を磨くことが不可欠になるのである。