そんなもったいないこと、できるわけがない
新しいフェラーリで街を走っても、ほぼ誰も振り向かない。東京には高級車が山ほど走っているし、一般大衆にとっては、フェラーリだろうがなんだろうが、自分とは無縁の「高そうなクルマ」にすぎないからだ。見せびらかすなら、価値がわかる仲間内に限られる。だから乗らないのである。
現在私は、80年代に生産された古いフェラーリ(328GTS)を持っているが、新型のフェラーリよりも、はるかに注目度は高い。
中高年層が目を輝かせるだけでなく、少年たちもなぜか振り返ってくれる。かつてのロマンの残り香を感じ取るのだろうか。価格はそれなりに高騰したが、まだ常識の範囲内(1000万円台)。惜しげもなく乗ることができる。
ちなみに、20世紀のロマン、フェラーリF40の現在の取引価格は、3億円から4億円。バブル期を大きく超えている。いまやF40を全開で走らせる者もまずいない。そんなもったいないこと、できるわけがない。