後天的な能力、行動や取り組みにフォーカス
①後天的な能力を褒める
外見を褒めることはハラスメントに抵触する可能性が高いものです。
以前よく飛び交っていた言葉に「俳優の○○さんに似ている」という褒め言葉がありました。
褒めているつもりが相手の気分を害する可能性もあるのです。
本人は好きではないかもしれませんから。
また「外見を褒める=中身を見てもらっていない」と感じる人も多いものです。先天的な能力ではなく後天的な能力、行動や取り組みにフォーカスするようにしましょう。
②2人称ではなく1人称で褒める
「伊藤さんは資料作成の色使いが上手だね」
「山岡先輩の説明は非常にわかりやすいです」
このように相手を主語にする褒め方は、相手からすると「上から目線」に感じることも少なくありません。
ここでは私はと1人称を主語にした褒め方に換えてみましょう。
「(私は)伊藤さんの作る資料ってすごく色使いがいいなと思ってます」
「(私は)山岡先輩の説明はわかりやすくて、勉強になります」
同じ内容を伝えているのに、もしあなたが言われた場合、後者の言葉なら上から目線に感じないのではないでしょうか。
「思っています」「勉強になります」の主語はあくまでも「私」です。
主語をシフトするだけでこのように大きく相手の感じ方が変わるのです。
また、このように「私」を主語にするパターンは、仮に相手が「そんなことないですよ」「何言ってるんだよ」と謙遜してきた時も切り返しやすいのです。
「いえ、本当にそう思ったんですよ」「私はそう感じました」というように。
愛想もなく苦手な人を「陰褒め」することの驚くべき効果
ただ2人称の褒め方は、相手からするとわざとらしく感じると思う人もいて、褒め言葉を伝えるのが苦手な人にとっては難易度が高いものです。
そこで、推奨しているのが第三者を巻き込んだ褒め方です。いわゆる「陰褒め」です。
ある時参加したセミナーで「いない人のことを褒める」と良いと聞き、早速実践してみました。
私が営業リーダーをしていた頃、西川さん(仮名)という在庫管理表を毎日メールで送ってくる別の部署のリーダーがいました。
西川さんは転職して数カ月、仕事はきっちりされているのですが、どうにも愛想がなく、挨拶も笑顔もない状態で部下からの評判が最悪でした。
このままでは西川さんの部署と私の営業チームが対立をしかねない状態です。
セミナーに行く前はお恥ずかしながら私も「西川さんって何か感じ悪いんだよな」などと言ってしまったことがありました。
そこで心機一転、セミナーで学んだ内容を実践してみることにしました。
「先日得意先に訪問する直前に、西川さんからの在庫管理表がちょうど送られてきて助かったんだ。あれを見なかったらそのまま在庫切れの商品を紹介するところだったよ。おかげで違う商品を紹介して難を逃れられたよ」と、部下の前で言いました。
その後も西川さんの在庫表や他の連絡メールが助かったことを社内の内勤チームもいる雑談部屋で何度か話すようになりました。
すると3週間くらい経ってビックリしたことが起きました。
何と朝出社する際、ビルの1階でエレベーターを待っている際、西川さんが「吉田さん、おはようございます」と挨拶をしてくるではありませんか。
その後は会話も増えてきて、在庫の少ない商品の確保のお願いを聞いてもらったり、かなり融通を利かせてもらえるような良好な人間関係になっていきました。
その場にいない第三者を褒める。ぜひ試してみてください。相手の面前で褒めるのが苦手という人もこの方法ならハードルが低く感じるかと思います。
③皆の前で褒めない(1対1で褒める)
「叱る時は1対1、褒める時は全員の前で」とかつては言われていましたが、今は褒める時も1対1が好ましいです。
なぜなら、自分ばかり褒められて媚を売っている・調子に乗っているというように思われないかと気にする人も増えてきてるからです。