「次は期限を守らないとまずい」と思ってもらう

一度締め切りを破った部下や取引先に対して、次に締め切りを守ってもらうには、どうしたらよいのでしょうか。やはり「次に守らないと、損をする」ことを理解してもらうしかありません。

部下には、またこんなことが続いた場合は、周りから信頼を失い、評価を下げるのでキャリアにも悪い影響があることをはっきりと伝えます。ただ、単にこうした警告をするだけでなく、評価すべきところは評価しており信頼はしていることや、次回期限を守ることができるよう、できる限りの支援はするということも、あわせて丁寧に伝えましょう。

「期限は守れていなかったけれど、仕上げてくれた資料の内容はとてもよかった。それが、期限を守れなかったということで評価を大きく落としてしまうのはとてももったいないと思っているんだ。一度言えば、ちゃんとできる人だと思っているから次はぜひ頑張ってほしい。どうしたら期限通りに仕上げられるか、自分でも考えてみて。そのために必要な支援があれば、遠慮なく言ってほしい」などです。

取引先も同様です。「次回また同じことが起きたら、納期が遅れたことで発生する経費や設備費を、請求せざるを得ない可能性があります」など、くぎを刺しておきましょう。

サポートの姿勢もしっかり見せる

ただ、部下の場合と同様、ただ警告するだけではなく、「今回は、大変な状況のところをご協力いただきありがとうございました。私も御社の商品の品質は高く評価していて、ぜひお付き合いを続けさせていただきたいと思っています。もし納期を守るのが難しそうでしたら、早めに言っていただければできるだけのサポートはしますので」など、評価すべきところはしっかり評価し、サポートしたいという姿勢も伝えましょう。

一方で、「納期遅れは他部署から非常に厳しく言われるので、このようなことが続くと、私たちの立場もつらくなります。こういったケースが続けば、取引を考えざるをえなくなってしまうので、ぜひ今後は納期を守るようにしていただきたいです」など、最悪の場合は今後のつき合いがなくなるかもしれないことを伝えてもいいでしょう。

締め切りが守れない人は、今後もずっと守れないままというわけではありません。「期限を守らないと自分のためにならない」と強く実感するような経験をして学んだり、期限を守れるようになるために必要な支援を得られたりすれば、変わる可能性があります。

ただ、適切な対応方法は、相手によって違います。「なぜ期限を守らない/守れないのか」という理由などに応じて異なるのです。相手に期限を守ってもらうことは、自分の仕事をスムーズに進め、チーム全体の効率を上げることにもつながります。ぜひあきらめず、うまくサポートしてほしいと思います。

(構成=池田純子)
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