小粒だがピリリと辛いハイテク工場?興味津々で同社ホームページを開くと、特異な製品が目白押し。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の関わる宇宙探査の多くに関わっていることがわかる。国際宇宙ステーション「きぼう」の日本実験棟からロボットアームで打ち出された超小型衛星「WE WISH」、2000年に話題となった探査船「はやぶさ」の小惑星イトカワ探査で活躍した蛍光X線分光器、07年に打ち上げられた月探査衛星「かぐや」に至っては、搭載した14種類の探査機器のうち、ハイビジョンカメラをはじめとする8台が同社製品だ。


仕切りを取り払い、広い通路を通し、碁盤の目のようにデスクがレイアウトされた伊勢崎工場(写真右)。塵芥を防いで、衛星などをつくるクリーンルーム(同左上)と本社社屋(同左下)。

同社のもう一方の収益の柱・防災観測機器でも、3.11以来お馴染みとなった“あの音”を出す緊急地震速報のシステム、北朝鮮ミサイル発射で話題となったJ-ALERTも同社製。さらに、震災時に水没した仙台空港の復活に貢献したポータブルな航空管制塔システム、画像掲載こそNGだが、地中の地雷を可視化できる地雷探知機画像型等々、ちょっと信じがたいような製品も完成させた。

「明星の敵の多くは大手企業なんです。NECさんとか、三菱電機さんといった大手企業と戦っています。そこで中小企業らしい、小回りの利く開発と生産活動で勝ってるんです」(上澤氏)

1992年、スペースシャトルの無重力実験に参加。98年にはシャトルに搭載した同社製中性子モニターで地球上の中性子を計測。NASA(米宇宙航空局)のホームページに、空中のイオン分布の様子を測るFPIイオンセンサーを納品したMeisei Electric Company,Ltd.の名と研究者の画像が掲載されているのも、この業界における同社への信頼の証しだろう。

一般にはさほど知られていない、特異な“ものづくり企業”。どういうバックグラウンドを持つのか。これだけの技術力をどう培ったのか。はたまた中小が大手と戦う秘策は? プレジデントは次々と湧く疑問を解くべく、同社を直撃した。