仕事に追われ、幸福度はどんどん下がる
そもそも、知りえぬ未来と戦うこと自体が、人生の幸福度を下げることも少なくありません。
過去に「こんな未来にしたい」という思いを抱き、そのための最適解を考え、努力したにもかかわらず、望むような結果が得られなかった。そんなとき、人は、かつて自分が抱いていた理想と現実とのギャップに苦しむことになるからです。
たとえば、一生懸命勉強して、いい学校、いい会社に就職することこそ、幸せな人生を歩むための最適解だと思って頑張ってきたのに、今の自分は日々、仕事に追われ、自分のやりたいこともできず、幸福とは言いがたい。
定年になればたくさんのお金と自由な時間が手に入り、悠々自適の生活が待っていると思って頑張って働いてきたのに、いざ定年になってみると、体力が落ちて自由がきかなくなり、定年後にやろうと思っていたことが何もできていない。
1日24時間を幸せに生きるために
ほかにも「昇進すれば」「転職すれば」「結婚すれば」素晴らしい未来にたどり着けると思っていたのに、そうならなかった……という思いにさいなまれ、苦しみや悔しさを感じている人はたくさんいるでしょう。
知りえぬ未来に多くのことを望んでも、それが叶うとは限りません。また、現在に不満があるからといって、過去を変えることもできません。つまり、私たちは、未来も過去もコントロールすることはできないのです。
では、私たちがコントロールできるのは何なのか。今、すなわち1日=24時間です。
この本の中でみなさんに伝えたいのは、効率化を求めて情報をあさったり、生産性を求めてマルチタスクを行ったり、タイムマネジメントに固執したりすることをやめ、過去を悔やんだり「いつか望む通りの人生が手に入るはずだ」と未来に望みをかけたりするのをやめ、今に目を向けることの大切さです。
今日の24時間にやるべきシングルタスクを決め、集中して取り組むこと。
私たちに確実にできるのはそれだけであり、その積み重ねの結果として、仕事の成功や、充実した幸福な人生がもたらされるのではないかと私は思います。