「生産性」という言葉にとらわれてはいけない
人間の脳は昔からほとんど進化していないのに、なぜ現代社会に生きる私たちは、情報を集め、さまざまな物事を同時並行で進めようとするのか。それは、究極的には、「今を生きる」大切さに気づかず、知りえぬ未来と戦ってばかりいるためだといえるでしょう。
すでにお伝えしたように、人がやたらと情報を集めたがる背景には「情報を集めることで、失敗や間違いをなくしたい」という心理があり、人がマルチタスクを行うのは、「そのほうが生産性が高い」と思い込んでいるからです。
そして、これらはいずれも、「仕事や人生を効率よく成功させたい」という思いにつながっています。
しかし、いくら情報を集めて危機を回避し、自分を有利な状況に持っていこうとしても、いくらさまざまな仕事を同時にこなし、生産性を高め、自分の価値を高めようとしても、いくらタイムマネジメントを徹底し、人生をコントロールしようとしても、その先にビジネスの成功や豊かで幸せな未来が待っているとは限りません。
マルチタスクが余計な仕事を増やす
みなさんも、過去を振り返って考えてみてください。
情報をたくさん集めたことで、危機を完璧に回避できたでしょうか?
集めた情報は、あなたの人生を大きく変えてくれたでしょうか?
マルチタスクを行ったことで、本当に生産性は高まったでしょうか?
仮に生産性が高まったとして、そこで何が得られたでしょうか?
余計な仕事が増えただけではありませんか?
タイムマネジメントを徹底したことで、どれだけ人生をコントロールすることができたでしょうか? 仮に、「時間の空き」が生まれたとして、そこで自分のやるべきこと、やりたいことができたという実感はありますか?
いたずらに情報を集め生産性を高めても、それは人生の充実感や幸福感をもたらしてはくれません。
さまざまなことを上手にこなしているような気になり、情報や、本当はやる必要のない仕事への依存度が高まるだけで、あなたの人生にクリエイティブなことはまったく起きないのです。