経営陣を「本当の意味」で刷新するしかない
その空気を一掃するには、兼重氏がビッグモーターの株式の過半を手離し、ビッグモーターの株主構成を大きく変え、経営陣を本当の意味で刷新する以外に方法はないだろう。おそらく投資ファンドなどはすでに兼重氏への接触を始めている。あるいは、行政処分が下ったどん底のところで、兼重氏から株式を買い取ることになるのかもしれない。その後は、新経営陣が社会性の高い企業として上場を目指すことになるのだろうか。
兼重氏が、ビッグモーターは自分の会社だ、と固執し続けた場合はどうなるか。消費者の信頼は回復せず、業績はジリ貧となり、それを補うために事業を切り売りせざるを得なくなる。それでも信頼回復は簡単ではないだろう。消費者は忘れやすいので、ビッグモーターにも客が戻ってくる、と兼重氏や今の経営者が高を括っているのだとすれば、後者に陥る可能性が高いだろう。自分が作った会社なので自分と末路も同じでいい、と無意識に思う創業オーナーは多いが、多くの社員とその家族がいることを考えれば、それは最悪の選択ということになる。