Twitterで「死にたい」と投稿する人は危険因子が多め

この問題については、私は、実際に調査をしたことがあります。Twitterで「死にたい」とか「自殺したい」とか、そういうことをつぶやいている人はどういう人なのだろうか? という調査です。実際に、つぶやいている人と、そうではない人を比較すると、Twitterで「死にたい」とかつぶやいている人は、過去に自殺企図をしたことがある人が多く、自殺の計画をしており、自殺念慮を抱いていて、自傷経験があり、抑うつ度が高く、精神科に通った経験があり、アルコールを飲む頻度が高いようでした。

自殺の危険因子のオンパレードという状態です。

Twitterで「死にたい」とか「自殺したい」とかつぶやいている人が、これまでの人生で自殺したいと真剣に考えた割合は7割程度でしたので、一般人口での2〜3割という調査結果と比較するとかなり高いことが分かります。一方で、10割ではないので、冗談のように「死にたい」とつぶやいている人も一定の割合でいるということです。

Twitterの画面、「死にたい」とつぶやくと支援窓口が表示される
Twitter(現・X)の画面、「死にたい」とつぶやくと支援窓口が表示される

「「死にたい」と他人に言うような人は実際には自殺しない」という話があります。一方で、自殺に関する専門家や識者が、そんなことはなく、それは神話であって、実際には自殺するのだと言う場面を目にすることもよくあります。

「死にたい」とか言う人が、“今すぐ”に自殺を試みて実際に亡くなる可能性は低いものです。ですから、「死にたい」なんて言うやつほど死なないというのは、短期的に見ればほとんどの場合、正解です。

一方で、「死にたい」と言う人は実際のところ自殺の危険因子をかなり多数保有しているので、長い目で見れば自殺で亡くなってしまう可能性はそんなことを言わない人間に比べるとはるかに高いということになります。そして、もちろん可能性としては、それが「死にたい」とか言った直後に起こることもあります。

【図表】年齢階級別自殺者数の年次推移
出典=「令和4年中における自殺の状況」令和5年3月14日、厚生労働省自殺対策推進室、警察庁生活安全局生活安全企画課

もし友人や恋人にそういう気持ちを打ち明けられたら…

「死にたい」という表現はSNSの専売特許ではなく、実際に、我々は身近な人からそう言われる場合もあります。私は所属大学で「自殺学」という半期15回の間、自殺のことしかしゃべらない授業をやっていますが、受講生の大学生からは頻繁に、「友人や恋人から『死にたい』と言われてどうしたらいいのか分からなかった」という質問を受けます。

2〜3割前後の人が人生で一度は自殺を考えるのであれば、それを打ち明けられる経験をしたことがある人もそれなりの数はいるでしょう。