※本稿は、森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。
年収300万円から年収1000万円までの道筋
転職活動における事前準備のうち、①転職の目的、②自己分析、③会社選びの判断軸が固まったら、いよいよ最後の④応募先の選定です。すぐに応募できるよう準備するまでが事前準備。どの業界の、どの職種の、どのポジションの会社に応募すれば年収アップするのかを一緒に考えていきます。そのための考え方でもある「転職の技法」を身につければ、年収300万円から年収1000万円までの道筋も見えてきます。
年収1000万円。憧れの響きです。ですがサラリーマンでは到達困難な数字です。年収1000万円以上の人は、日本の給料所得者のうちわずか4.6%となっています(国税庁「令和2年分 民間給料実態統計調査」より)。スーパーサラリーマンの証である年収1000万円には、せめて年収700万円前後ある状態でないと、1回の転職では到達できません。年収300万円から一気にジャンプアップは残念ながら夢物語です。
年収をアップさせる「軸ずらし転職」
否定ばかりでは面白くないでしょうから、ここで年収1000万円までの道のりをお伝えします。いわゆる「軸ずらし転職」を繰り返すことです。私たちサラリーマンの年収は、基本的に「業界×職種」で大枠が決まっていますので、年収アップさせるにはどちらか、もしくは両方を「年収の高い業界」や「年収の高い職種」へ転職する必要があります。それが「軸ずらし転職」です。
パターンとしては、3つあります。
1.業界を変える、職種は変えない
2.業界は変えない、職種を変える
3.業界も職種も変える
1.であれば、同じような仕事で業界を変えるだけなので、経験者扱いでの転職が可能です。年収アップには業界が重要な意味を持つので、職種という軸は固定して業界だけ軸ずらしするのが年収アップの近道です。これは意外と簡単で効果が高い方法です。ただ、まったくの未経験業界だと内定を得る難易度が上がります。
例)IT業界でアプリケーションエンジニアをしていたのですが、転職後は環境・エネルギー業界の社内エンジニアをやっています。
2.であれば、業界内で職種を変えているだけなので、年収アップとともに業務内容が変化します。やりたくてできる仕事への転職を目的とするなら効果的です。ポイントは、現職の知識や経験を活かせて、かつ今の仕事でやってることと2~3割は重なる職種を選ぶことです。ただ、あまりに職種を変えすぎると未経験者扱いになり年収アップしません。
例)保険業界で営業事務をしていたのですが、転職後は同じ保険業界で営業をしています。
3.であれば、軸をずらす角度が大きいため大幅な年収アップが可能です。年収100万円アップどころか、300万円超のアップも見込めます。私もIT業界でのITコンサルタント⇒建設資材を取り扱う商社の企画営業へと、業界と職種のどちらも軸ずらしすることで年収300万円アップに成功した経験があります(6社目⇒7社目)。ただ、どちらも変えすぎると入社後の適応に苦労します。
例)「IT企業でアプリ開発エンジニアをしていたのですが、転職後は人材業界で新プロジェクトのマネジャーをしています」
この「軸ずらし転職」を2、3回繰り返せば、年収300万円スタートでも10年かからずに年収1000万円へ到達できます。「軸ずらし転職」、素敵ですよね?