「独立・中立的にアドバイスをする」というIFA

実際、大手の証券会社やメガバンクなど既存金融機関を退職した人が、IFAとなったり、IFA法人を立ち上げたりする動きが盛んだ。

IFAは、独立・中立的な立場から資産運用のアドバイスを行う専門家とされる。わが国では内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品取引業者(証券会社)と業務委託提携を結んだ金融商品仲介業者(IFA法人)に所属するIFA(個人)が主流だ。

なお、IFAというのは業界の自称で、法律上は金融商品仲介業者となる。日本証券業協会によると、IFA法人を含む金融商品仲介業者(723社)の登録外務員数は、前年比1007人増加の6148人にまで拡大している(2022年12月末)。

金融庁から委託を受けたみずほ総合研究所による「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」によると、IFAの特徴として、

① 特定の金融機関に所属せず、独立した立場
② 自社運用商品販売のしがらみがなく、顧客との利益相反が生じない
③ 金融機関のようなノルマに基づく営業がない
④ 会社都合の転勤がなく、顧客と長期にわたる接点継続が可能
⑤ 「金融機関の代理人」ではなく、「顧客の代理人」

といった点が挙げられている。

顧客のニーズを踏まえず、リスクの高い仕組債や外貨保険などの販売に注力してきた既存の金融機関の営業員に不信感が高まるなか、独立・中立・ノルマなし・転勤なしで、「顧客の代理人」となってくれるIFAは、理想的な相談相手なのだ。

ビジネスパートナーの握手
写真=iStock.com/Wasan Tita
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販売手数料に依存した営業手法の限界

そもそも既存の銀行や証券会社など金融機関への不信感のもととなったのが、金融商品の販売手数料に依存した営業手法だ。営業員は、仕組債や外貨保険など販売手数料や業績効果の高い金融商品を勧める誘惑にかられ、顧客とのトラブルを繰り返してきた。

ようやくこうした既存の銀行や証券会社も、販売手数料ではなく、フィーベース(残高連動報酬)を主体としたビジネスモデルへの転換を目指すものの、多くがまだその途上にある。

一方で、いち早く残高連動報酬を掲げた大手IFA法人のファイナンシャルスタンダードは、預かり資産残高で1000億円、取引口座数は5800口座を突破している(2022年12月末)。同じく大手のGAIA(ガイア)も、投資信託の残高連動報酬で稼ぐことで、預かり資産が500億円を突破、証券収入に占めるフィー(信託報酬と助言報酬)比率は89%に達している(2022年8月末)。

こうした大手IFAの一部では、そもそも仕組債や個別株といったハイリスク商品を取り扱わず、営業員は正社員で固定給制であったり、フィーベースで給与を払う仕組みとなっていたりする。