AIの奴隷になるか、AIを奴隷にするか
さて、この事実を目の前にしてあなたはどう考えればいいでしょうか。
「自分の仕事はAIに奪われるから、置き換えられない技術を習得しよう」
「人間にしかできない仕事をしよう」
多くの人がこう考えるかもしれません。
しかしもっとシンプルに、
「今の仕事にAIをどう使おうか」
と考えてみてはどうでしょうか。
誤解を恐れずにいえば、この考え方一つで「AIの奴隷になるか、AIを奴隷にするか」くらいの大きな違いが出てくると私は思います。
例えば、少し前から某ファミリーレストランでは配膳をロボットがしていますが、以前までこれは人間の仕事でした。
このレストランにおいて配膳業務における人間の仕事は、配膳ロボットのメンテナンスをすることに置き換わっていると言っていいでしょう。
あなたがこのロボットを目の前にしたときに、
「これは私の仕事がなくなってしまうかもしれない。より工夫を凝らして私にしかできない配膳を追求しよう」
と考えるのか、
「よし、猫型ロボットを取り入れたほうが作業効率がいいから取り入れよう」
と考えるのか。
言うまでもなく、これからは後者の判断ができるかどうかが非常に重要になってくるのです。
企画を考えるクリエイティブ職に脅威
私はChatGPT関連の会社を急いで創業し、本書を出版するくらいなので、周囲のChatGPT未経験者にもその凄さや使い方を布教してきていますが、最初の反応で圧倒的に多いのは「絶句」です。
例えば「第2章 ChatGPTのできること」の「企画書作成」の部分でも例に出していますが、とあるテレビ局のディレクターにChatGPTを紹介したときの彼の最初の反応は「え、私の仕事なんだったの? もうこれでいいじゃん」でした。
これまではAIに奪われる仕事といえば肉体労働のような仕事のイメージが強かったわけですが、彼のような企画を考えるといったいわゆるクリエイティブ職、つまり頭脳労働や知識労働、さらには管理職というホワイトカラーと呼ばれる役職に就いている人たちほど、その脅威を感じているのです。
また、しばらくは人間の感性を凌駕できないだろうと思われていた芸術の領域にもその影響は出てくると予想されます。
ある知り合いのジャズピアニストは「これからは本物の芸術作品は残るけど、大半の商業音楽はAIに取って代わられる」と言っていました。
本物の仕事、本物の芸術しか残らない時代が来たのです。
これらの例を出すまでもなく、人間の仕事が機械に取って代わられるということはこれまでにも起こってきたし、話題にもなっていました。
しかし、今回のChatGPTの登場は、これまで「人間の仕事」だと考えられてきた領域にまでその影響が及ぶという点が衝撃的で、それが本書のタイトルにもつながっています。
それは「書くだけ・喋るだけ」という誰にでもできる自然言語でほとんどの作業が済んでしまうことが大きく、これはまさに日本人が夢にまで見た、現実のドラえもんの誕生です。
アイデアさえあれば誰にでもドラえもんを使って稼いだり、問題を解決したりするチャンスがあるのです。