バレたときの振る舞いが肝心
当社では「別れさせ屋」もしています。パートナーと穏便に別れたいという依頼に応じて仕事をするんです。どういうふうに別れさせるのか? 細かくは業務秘密でお話しできませんが、要は偶然を装って女性社員を男性に近づけるんです。もちろんセックスはしません。近づいてその気にさせ、相手の女性と別れさせた時点でフェードアウトです。
浮気の場合、どこからが「浮気」で、どこまでが浮気でないのか、線引きは個々人で異なります。なかには「セックスしてないから絶対に浮気じゃない」といい張る男性もいましたが、結局は「心が動いた時点で、浮気でしょう」と迫ったら黙りこくってしまいましたね。
多くの案件を処理してわかったのは、女性に男性を近づけても成功しないことがありますが、男性に女性を近づけた場合、あっけないほど簡単に成功するということ。奥さんがいようと、不倫相手の彼女がいようと関係ありませんね。
肝心なのは、浮気がばれたときに夫がどう振る舞うかです。それにより最終的な結末は変わってきます。証拠をつかんだ妻が離婚を決意していたのに、結局元の鞘に戻ったこともありました。絶対に旦那は浮気を認めないと思っていたのに、あっさり認めて謝られてしまったため、毒気が抜かれてしまったようです。
反対に泥沼にはまるケースもあります。どうしても浮気を認めず、浮気相手とも別れない。そんな場合は奥の手で浮気相手の女性の両親に浮気の事実を暴露することもあります。未婚の女性であれば、親は絶対に許しませんから、そちらのルートで別れさせるんです。社内恋愛の場合は内部告発ですね。写真と文章をつくり社長宛てに送りつけます。だいたいどちらかが左遷されるかクビになるので、それで片がつきます。
最後に、強烈な過去のエピソードをご紹介しましょう。依頼者の女性は探偵を雇いながら、自分でも独自に尾行をしていました。ある日、「今、夫が発信器を付けた車で女の所にいきました」と連絡が入り、僕たちは現場に駆けつけました。するとあっという間に奥さんが女性の家に乗り込み、慌てふためいた旦那は靴も玄関に置きざりにして、靴下のままベランダから飛び降りて逃げちゃったんです。残された女性2人は修羅場となったのは言うまでもありません。
旦那の車の鍵を持っているという奥さんもいました。その日、車で相手とラブホテルにいった旦那を僕と奥さんで尾行したのですが、その後、奥さんは、「私、車の中で2人を待っています」というんです。彼女は持っている鍵で旦那のワンボックスを開けて後部座席に座りこみました。しばらくしてホテルから出てきた2人は、奥さんが後ろに乗っているとも知らずに車に乗り込み、そして車はそのままどこかに走り去っていきました。あれ、あの後どうなったんでしょうね。