支店長ポストが減り、農業に出向することも…
金融庁は各県で「第一地銀と第二地銀を統合させる」というシナリオで動いている。そのシナリオの原点は2018年に金融庁の有識者会議がまとめたレポート「地域金融の課題と競争のあり方」に集約されている。このレポートでは、人口減少などにより1行単独でも地銀が生き残れない地域が23に上り、1行であればどうにか存続できる道府県が13になると指摘されている。金融庁内部には「地銀の数は現在の半分でいいのではないか」との意見も聞かれるほどだ。
全国の地域経済の中核をなす地銀。「地元の商工会議所や商工会の会合では、いつも地銀の支店長は会長とならび上座に座るのが慣例になっている」(新潟県の商工会事務局員)と言われる存在だ。「地銀の頭取は殿様」という地方もある。
社会的地位が高く、安定性があり、給与も地域の中では群を抜いて高い地銀。その地銀の地位がいまグラついていることは間違いない。「超低金利が続き、伝統的な預貸金利ザヤだけでは食べていけない」(地銀幹部)という。
支店の統廃合もあり、支店長になれない行員も増え、天下り先も細っている。「現職のまま他業種に出向することも増えており、銀行員なのに農業に従事しなければならないケースもある」(地銀行員)という。企業の将来に敏感な学生の人気がまさに地銀の置かれた厳しい状況を如実に映し出している。