なかなか眠れない夜はどうするといいか。漢方家の櫻井大典さんは「寝る3時間前には食事を終えておかないと、朝起きたときに疲れやだるさが残ってしまう。それでもお腹が空いて眠れない夜には、消化活動により体をお休みモードにするために、胃腸に負担のかからないものなら食べてもいい」という――。
※本稿は、櫻井大典『病気にならない食う寝る養生 予約の取れない漢方家が教える』(学研プラス)の一部を再編集したものです。
脳は眠りが2回目のサイクルに入った時に不足した栄養を送る
睡眠の質を高めたいなら、夕食は20時までに食べ終わるのが理想です。これは、23時に寝ることを想定した場合です。
食べてから寝るまでの時間が短いと、せっかく寝ていても、体を休めていることになりません。これはイメージで「きっと休まらないだろう」というわけではなく、明確な理由があります。
次の眠りの深さを示したグラフをご覧ください。入眠して最初のサイクルで深度3と4の深い眠りになるタイミングは、それ以降のサイクルに比べると深い眠りの時間が長めですよね。
体は、この眠りの最初のサイクルに自らの全体をくまなく調べます。皮膚や内臓などに欠損しているところはないか、病気になりそうなところはないかなどのチェックを行うのです。
深度1と2の時はまだ脳が完全には休んでおらず、脳が体にうるさく指示を出したり注文をつけてきたりするのでチェック作業ができないといったイメージです。そこで脳が眠った深度3と4の間に体が全身をチェックし、どこがどうなっているというデータを集めます。
そしてまた眠りが浅くなった時に、体が脳にそのデータを伝えます。次に脳が、「肝が弱っているから元気にしよう」「腎に元気をためておこう」という指令を出し、眠りが2回目のサイクルに入った時に足りない栄養を必要な箇所に送り、修復作業をします。