うつ診断で「これであいつらから逃れられる」
「家でもストレスを引きずっていたみたいで、妻から病院に行ったほうがいいって言われました。それで医者に『すぐに会社を休まないと、取り返しのつかないことになる』って診断されたんです。そのときですか? いや、ショックはないです。むしろ『これであいつらから逃れられる』と清々しました。
でも、心身が回復していくのと並行して、部下がいるってことが怖くなってしまった。初めて部下を持った時はうれしかったし、やっとこれで楽になれると信じていたんですけどね。今は部下は二度と持ちたくないという気持ちと、そんな自分の弱さをなんとかしなきゃって気持ちを、行ったり来たりしてる感じです」
ササキさんにインタビューしたのは、今から4年前。当時はどこに行っても円周率を3と教えられた「ゆとり世代」の問題を相談されました(ゆとり世代=一般的に1987年4月2日~2004年4月1日に生まれた世代)。“ゆとりモンスター”と揶揄する声も多く聞かれました。
体育会系の上司とゆとり世代の部下の隔たり
最近は若い社員の代名詞に「ゆとり世代」が使われるのは激減しましたし、“モンスター”などというレッテル貼りへの批判もあります。それでもやはり「上司から見た若い社員」はモンスターでした。なにせ、やっと本当にやっと「奴隷」から解放されたのに、入ってきたのは体育会系と一線を画す若者たち。彼らの言動は理解不能なものばかりです。
しかも、予期せぬ事態に手を貸してくれる「平民=同僚」もいなけりゃ、気遣ってくれる「先輩=貴族」もゼロ。ただただ「ひとつよろしく!」とすべてを押し付けられ、ストレスは溜まる一方です。
いつの時代も「最近の若者は~」という言葉が口を衝いて出るのは年をとった証拠ですが、愚痴るだけではおさまらないのが、自信ありげなのに案外ナイーブなゆとりモンスターの言動です。